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松之山のお風呂と里山ごっつお 和泉屋・ひなの宿ちとせ宿泊記

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〇松之山温泉スキー場
 冬になると、昔はよく越後湯沢などへスキーしに行っていたのですが、コロナ禍でなかなか行くことができず、今年こそはと胸に誓ってようやく行くことができました。松之山温泉スキー場はリフト二基の小ぢんまりとしたスキー場ではありますが、ロングリフトの頂上から通してすべるとかなりのロングコースを楽しむことができますし、初心者から上級者まで十分楽しめるゲレンデ構成になっています。
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 平日はお得なワンデーパックが発売されており、3000円払うと1日リフト券、昼食券(レストハウス雪椿で使える1000円分の金券)、鷹の湯入浴券がセットで付いてきます。鷹の湯入浴券が500円ですから、実質1500円で一日中滑れるわけです。
 ちなみに、スキー板+ブーツ+ストックのレンタルが2200円でした(半日分)。スキー以外にもレンタルソリや様々なスノーアクティビティーがあり、冬のレジャーを格安で楽しむことができます。
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 ロングリフトを降りてから松之山の反対側を眺めるとご覧の景色。冬の新潟、来なければ見ることができない絶景が広がっています。これがスキーの醍醐味ですね。
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 頂上から初心者コースをたどるとブナ林の中を進む林間コースとなっていて、このあたりの雰囲気がとてもいいです。久々のスキーだったため、体が思うように動かずけっこう疲れましたが、無事に楽しみながら滑りきることができました。
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 こちらはレストハウス雪椿。雪椿ラーメンやスキー場みそラーメン、湯治豚丼など人気メニューが数多くあるなか、中でも「特製肉みそ麺」が大評判とのことで、食事券を利用して注文しました。
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 ニラと肉がたっぷりの食べ応えあるラーメンです! ゲレ食って代り映えのないカレーだったりパサパサのミートソースパスタだったり、値段高いわりに微妙なことも多々あるのですが、こちらはわざわざゲレ食だけを食べにくる価値があるくらいの逸品です。
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 館内には温泉むすめ松之山棚美ちゃんのタペストリーが飾られていました。なお、食事した半券をスキーセンターへ持っていくと棚美ちゃんの利用証明書がもらえるそうです。



〇和泉屋
 
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 目いっぱい滑ったあと、鷹の湯の利用券は持っていたのですが、どうやら4月末まで有効期限があるようだったので、そのまま和泉屋にチェックインしました。松之山温泉スキー場から温泉街までは徒歩20分くらいで、車がなくてもなんとか歩ける距離です。
 
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 落ち着いた雰囲気のベッド付和洋室。部屋それぞれに松之山モチーフのコンセプトがあり、機能的に仕上がっています。枕元に充電設備があるのもうれしいですし、炬燵もいいですね。
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 さて、和泉屋には大浴場がありません。厳密にいえばかつてはあったそうですが、現在は大浴場も貸切風呂に改装されています。内湯2箇所、露天風呂3箇所が予約不要・追加料金不要で空いてさえいれば何度でも貸切放題なのです。これはとても贅沢! 部屋から廊下を除くと、上の写真のようなランプがあり、これが光っていると使用中です。どこが空いているか一目瞭然なのでとても便利です。
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 二階にこのような形でずらっと貸切風呂が並んでいます。これは温泉好きには天国です! 松之山のお湯は熱く成分が濃いので、ひとつの浴槽に長時間入浴するよりもこまめに短時間、複数回に分けて入浴するのが理想的です。せっかくなら滞在中に5か所全制覇しちゃいましょう。三階へ続く階段がありましたが、閉鎖されており何があるかはわかりませんでした。
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 まず初めに「翠湯」へ。中へ入ると、このような浴槽の説明書きがあります。その浴槽が源泉かけ流しなのか、循環濾過なのか、消毒や加水はどうなっているのかが一目で分かるようになっています。翠湯は常時源泉注入循環濾過方式。温泉資源を守るため、循環濾過こそしていますが、常に新鮮な源泉が注入されており、また温度調整のための常時加水はしていません。
 露天風呂は洗い場がないことが多いのですが、ここは脱衣所にシャワー室とトイレがあるので、事前に内湯で体を洗ってから露天風呂へ入りなおさなくても大丈夫です。ヒートショック対策のためにも、シャワー室で体を洗ってから露天風呂へ移りましょう。
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 浴槽はこのような形。隣へ続く扉が閉鎖されており、かつては隣の内湯と繋がっている露天風呂、という位置づけだったことが連想されます。木の柵まで雪の塊が迫ってきているのがお分かりいただけると思います。松之山は国内でも屈指の豪雪地帯。雪見風呂ならぬドカ雪見風呂が確実に体験できます。外が寒いためか温泉の温度もちょうどよく、外気に体を当てたり温泉に浸かったりを繰り返しながら気持ちよく入浴できました。
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 続いては念願の完全源泉かけ流し浴槽、元湯です。ここは循環濾過も加水も一切しない完全無欠のフレッシュ浴槽です。
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 フレッシュな源泉を楽しむために浴槽は小さめになっています。源泉かけ流し浴槽が広いとお湯の劣化が激しくなってしまうので、これくらいが理想的と言えるでしょう。もちろん貸切利用なので十分すぎる広さでもあります。
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 お湯を直接投入しつつ、一部はゆっくり冷ましてから浴槽に流れるようになっている機構でしょうか。こういう設備を見ていると、宿の方がお湯にとてもこだわりを持っているのがわかりますね。高温の源泉が加水なくかけ流されているので、当然循環濾過の浴槽よりは温度が高めです。濃厚な松之山アロマを胸いっぱいに吸い込み、高級化粧品の中に身を投じているこの贅沢さ! 肌がみるみるうちにツルツルになっていくのがわかります。
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 お湯も濃ければ露天風呂からの眺望も濃い(笑)。もはや雪のせいでどういう地面になっているのかさっぱり想像つきませんが、東京じゃ絶対に見られない景色を眺めながら特濃源泉に浸れるのは旅の醍醐味であり、わざわざ松之山の地まで来る理由の一つでもあります。
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 湯上りに水を飲んでいたらこんなものを発見しちゃいました。
 松之山温泉の奇祭、「むこ投げ・墨塗り」を体感できるVR。これは新しい!!!
 さっそくやってみました。むこ投げは嫁視点・婿視点と選べて、婿視点を選択すると担ぎ上げられて雪の上をゴロゴロと転がされます。
 すみ塗りは町人が突然やってきて目の前を真っ黒にしていきます。
 けっこう映像が過激なので酔う人もいるかもしれませんが、あの伝説の奇祭がどんな感じなのかを年中無休で体感できるので、ぜひ宿泊したらやってみてください。
 松之山温泉、町の方がここがどういう場所なのかをよく理解し、うまく魅力を発信できていると思います。
 訪れる立場から見るととても楽しいです。
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 さて、和泉屋の夕食です。和泉屋夕飯の特筆すべき事項は鯉料理です。鯉は薬用魚と呼ばれるほど栄養価の高い淡水魚で、たんぱく質はもちろん、タウリンによる強肝作用も期待できるそうです。新潟地酒を飲むには実にいい肴なんですね。かつては貴重なたんぱく源だったそうです。
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 冷水にさらすことで臭みのない、食感のよい鯉のあらいを提供できているそうです。
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 SAKE FLIGHTで日本酒を気軽に注文できます。新潟地酒というともっと範囲が広いですが、十一屋商店とコラボし、松之山・越後妻有周辺の地酒を特に扱っているそうです。範囲が限定されると美味しい酒が減るのではないかという心配はご無用。このエリアにもスペシャルな酒蔵がたくさんあるのです。うらがわらにある「新潟第一酒造」、十日町にある「松乃井酒造場」、そして津南町の「津南醸造」。
 かつては松之山町にも「越の露」という醸造所があったそうですが、周辺の醸造所を合併する形で上越市浦川原区に「新潟第一酒造」が誕生しました。大棟山美術館の敷地付近で取水した名水「柳清水」を利用した松之山の地酒「越の露」はいまでも新潟第一酒造で作られています。和泉屋でも飲めますし、十一屋商店で買うこともできます。
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 いろいろ飲んでみて「つなん藍」がかなり気に入りました。
 もう一つだけ話させてください。酒米をどれだけ削るかで精米歩合と酒のランクが決まってきます。大吟醸と呼ばれる酒は精米歩合が50%以下、つまり米をかなり削って雑味を抑えたランクの高い酒のことです(醸造アルコールなし)。対して、本醸造は70%以下くらいです(醸造アルコールあり)。ランクが高ければ当然値段も高くなります。
 しかし、大吟醸だから旨い、本醸造だからまずい、というわけではありません。雑味を抑えれば甘みのある純粋な日本酒は完成します。しかし、その雑味をどう処理するかで、本醸造でもうまい酒はいくらでもありうるのです。
 僕もかつては吟醸酒派でした。今では本醸造のうまい銘柄を探すのにハマっています。日本酒の味を決めるのは精米歩合だけでありません。酒の管理方法、提供される温度、さらに言えば飲んでいる間に自身の指先で温まる酒器の具合でも日本酒のコンディションはどんどん変わっていきます。食事の中でどうお酒を飲むかも重要なポイントなのです。
 話が多少逸脱した気がするので新潟地酒の話に戻しましょう。松乃井酒造場の杜氏が「本醸造」と同じランクの酒米・精米歩合を利用し、どれだけ大吟醸クラスの日本酒を作り出せるか、その難しい課題にチャレンジしたお酒が「松乃井SUPER本醸造」です。僕は十一屋商店さんに教わって大好きになりました。これも和泉屋でも飲めますし、十一屋商店で買うこともできます。ぜひ日本酒の幅を広めて飲んでみてください。
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 松之山前菜三点。菜々煮・湯治豚・醗酵豆腐です。菜々煮は野菜を野菜で炊いたもの。野菜本来の甘さを引き出しています。湯治豚は塩麹に漬けた妻有ポークを温泉熱で低温調理したもの。醗酵豆腐は地元の豆腐を「まんまの味」ベースの味噌に漬け込んだもの。「まんまの味」はかぐら南蛮を用いた「塩の子」入りの味噌で、これも十一屋商店で買うことができます。御飯の友にいいですよ。
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 棚田鍋。コシヒカリのおも湯を使ったスープに、雪に見立てた大根おろしを入れています。妻有ポークが美味しいのはもちろんですが、野菜の甘みが口いっぱいに広がって、むしろ野菜が主役なんじゃないかと思わせるような鍋になっています。
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 そしてこちら、和泉屋謹製の鯉こく。これがもう、めちゃくちゃ美味いんです。地酒を飲みまくったあとに提供されるのも最高ですね。五臓六腑に染み渡っていく優しさと、柚子の香りがたまりません。鯉こくとは鯉を輪切りにして味噌汁で煮込んだ料理。鯉自体が肝臓にいいので、酒の〆には言うことないですね。
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 最後に松之山の美味しいお米。これがとんでもなく美味しいんですよ。味付け一切必要なく、ご飯がご飯のままで美味しい、それが素晴らしいです。
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 ほどよく酒が抜けてきたところで、貸切風呂めぐりを再開しましょう。双湯は和泉屋の中でも最も広い浴場で、循環ろ過+常時新鮮な源泉を注入している右側の浴槽と、循環ろ過の左側浴槽があります。元湯と比べるとお湯の色もだいぶ違うのがわかります。
 和泉屋に宿泊するまでは元湯のような源泉かけ流し浴槽に入浴するのが楽しみだったのですが、実際に色々入り比べてみると、本音を言ってしまうと双湯の浴槽が一番気に入りました。循環ろ過されているので、温度が一番低めで成分も薄く、長湯がしやすいのです。
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 温泉なら源泉かけ流しじゃないと認めない、というようなファンも見受けられます。もちろん、源泉かけ流し浴槽が素晴らしいのは僕も理解しています。あまりにもいい源泉も、循環ろ過することでその個性を失ってしまう現場をいくつも見てきました。しかし、松之山のお湯はとにかく強いんです。循環ろ過したところでその個性は失われません。そして、源泉かけ流しかどうかよりも、その施設の湯遣いがどうなっているかのほうが大事なのではと最近考え始めています。
 まったく同じ源泉が供給されている宿でも、お湯の使い方によって浴感がだいぶ異なることに最近気づき始めました。宿の湯遣いがどうなのか、というのは非常に大事です。双湯の場合、松之山の強烈な源泉と、和泉屋の徹底した源泉管理のお陰で、循環ろ過浴槽でも気持ちよく松之山アロマを感じながら入浴することができるのです。これはひょっとして、源泉かけ流しの浴槽に入るよりも貴重な体験なのではないか、とさえ考えられます。そして、左側浴槽と右側浴槽で若干温度が異なるので、交互浴を楽しむこともできます。さきほどの日本酒の話と共通することもありますが、単にランクの高い表記を選ぶだけでなく、ランクだけにこだわらないでそこにあるものをしっかりと見定めて丁寧に管理されたものこそレベルが高いものなのではないか、と強く思いますし、松之山の方々はそれを熟知されているような、そんな気がしました。
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 古湯は双湯の右側浴槽と同じく、源泉が常時注入されている浴槽が一つある内湯です。自分が訪れたときは未設置だったのですが、実はここに温泉むすめファンにはたまらない「とあるもの」が設置されたそうで、ぜひそれも確かめてみてください。

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 早めに就寝して熟睡しました。冬の朝ごはんは「とろろ朝まんま」。十日町産の自然薯と大根おろし、出汁でご飯を美味しくいただきます。
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 最後の貸切風呂は野湯。こちらは清掃後の水張り時のみ加水されていますが、それ以外は完璧な源泉かけ流しです。
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 露天風呂のすぐ側まで立ちはだかる雪の壁を見ながら、熱めの松之山源泉に身を投じます。
 熱くて濃い松之山源泉をかけ流しで提供することもとても大変なことだと思います。それを実現するために様々な工夫がなされています。
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 例えばこれなのですが、筒が二重になっています。外側の筒は下の方が空いており、内側の筒が排水口へ繋がっていると考えられます。こうすることで浴槽の下部から古い湯を捨てることが可能になります。浴槽の縁からお湯を排水する方法を摂ると、熱いお湯は上に、冷たいお湯は下に貯まるので、下にたまった古い湯がそのままになってしまい、上が熱くなっていくばかりです。常に浴槽全体が新鮮な湯で満たされるためには、下の古い湯をどんどん捨てていく機構が必要になるのです。こうすることで浴槽内の温度も一定になりますし、お湯の鮮度にこだわっている証拠だと思います。
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 和泉屋をチェックアウトすると、温泉街の入口でスペクタル除雪ショーが行われていました。沿道に積もった雪を大胆に飛ばしていきます。豪雪地帯に長年住んできた人々の知恵と結晶は、さまざまなところに染み込んでいます。そういった地域独自の特徴を知ることこそが真の旅行だと思います。里山の魅力をぜひ、松之山温泉和泉屋で感じてみてはいかがでしょうか。



○滝見屋
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 ちょうど自分が松之山温泉スキー場でぎこちなく滑っていた脇でスキー大会が行われていて、なんと滝見屋さんの息子さんが優勝していたそうで、大変おめでたいですね。こちらの蕎麦が以前から大変気に入っているのですが、季節ごとに提供される野菜の天ぷらも非常に美味しく、季節の変わり目ごとに訪れたい飲食店です。寒い日は温かい蕎麦が身にしみますね。
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 気がつけば春になりました。長く険しい雪のシーズンを乗り越えた松之山温泉は、山菜のメッカになります。ふきのとう、こごみ、ウド、雪下にんじん、生姜などをその場でカラッと揚げて蕎麦とともに提供してくれます。これが感動するほど美味しいんですよね。ふきのとう、苦くて苦手という人はぜひ本物のふきのとうを試してみてください。そこまで苦くなく、ほんのりとした春の優しい苦さがたまらなく美味しいです。十日町産そば粉と布海苔を用いた美味しい蕎麦も絶品。もうちょっとするとコシアブラなども出てくるそうで、何度でも行きたくなるお蕎麦屋さんです。



○美人林
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 冬を生き延びたブナ林。
 芽吹いたばかりの若葉は水をたたえて、太陽の光をめいいっぱい浴びて、
 まるで立派な教会のステンドグラスのように、生命力いっぱいに林を覆い尽くします。
 野鳥の鳴き声響く静謐な空間。穏やかな四月の風。
 ようやく行きたかった美人林に行くことができました。
 この地のブナは大正時代に一度すべて伐採されたそうですが、再び芽生え、キョロロと鳴くアカショウビンに代表される野鳥の観測地点としても重要視されているそうです。



○ひなの宿ちとせ
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 松之山で野鳥観察ができるのはなにも美人林だけではありません。冬は豪快な雪見風呂ができる露天風呂ですが、春はすぐ近くまで野鳥がやってきてくれます。
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 ひなの宿ちとせを代表する露天風呂、「月見の湯」。雪にすっぽり覆われたその姿を温泉情報誌などで見かけた方も多いでしょう。松之山でここまで広めの露天風呂は珍しいかもしれません。浴槽はぬるめとあつめで区切られており、肌触りの良い松之山の源泉が掛け流されています(循環ろ過なし、清掃後の水張り時のみ加水有)。湯の花も見られます。
 松之山の湯は地殻変動によって閉じ込められた古代の海水。悠久の時を越えてこの静かな里山に滾々と湧き出る薬湯に身を委ね、鳥のさえずりに耳をすませば、すぐ近くまで野鳥がやってきてくれます。この自然との一体感は格別です。有名な露天風呂であるのも入浴すればわかると思います。「浴槽に葉や虫などが入る場合がありますが、里山の自然に免じてご寛容ください」という注意書きの文言も好きです。
 体が温まったら浴槽を出ます。通り抜ける四月の風がなんとも心地よく、本当にいい場所に来たなあとしみじみ思います。肌が冷めてきたらまた入浴するの繰り返し。ちなみに、湯上り後長時間そのままでいると、温泉の塩分で肌がコーティングされて、少しパリッとするような、そんな感覚が味わえます。この感じ、松之山温泉独特で好きなんですよね。肌が特殊コーティングされ、松之山アロマを全身にまとって最強になれた気がします。
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 ひなの宿ちとせの湯守、柳一成さんは温泉旅館を経営する傍ら、「松之山温泉合同会社まんま」の代表を務めており、松之山温泉を見つめながらその魅力を地域外に発信し続けています。宿の反対側にあるビジターセンター・湯治BARなどもこちらの経営。体験ツアーなどの提案を行っているそうです。宿の館内にも松之山温泉をよく知るための案内文がたくさんあります。
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 とくにこちらはすごいなあと思いました。松之山温泉の成分がどのように効果的かを泉質分析表からわかりやすく解説しているのです。例えば、松之山温泉はメタホウ酸の含有量が日本トップクラスに多く、肌の殺菌作用や切り傷などに効果的です。こういう案内表がいろんな温泉地にあれば、より理解が深まるなあと思いました。
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 肌があっという間にツルツルになりました。湯上がり後、なんと日本酒の無料サービスがありました。アイスキャンディーや湯治卵も時間限定ではありますが無料で食べられます。この湯治卵、中はトロットロでとても美味しいんですよね。
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 ひなの宿ちとせはスリッパ履きではなく、廊下が畳敷きになっているので素足か足袋のまま歩けます。この気軽な感じも湯治気分の演出に一役買っていますね。ラウンジ「じょんのび」ではハーブティーを飲みながらちとせ文庫に並んだ本を読むことができます。
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 中庭に出て外の空気を吸うこともできますし、宿のすぐ反対側が十一屋商店なのでさっと必要なものを買いに行くこともできます。色々便利な立地ですね。
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 さて、夕飯「里山ごっつお」の時間がやってきました。会場は釜炊き場の見える食事処「里わ」。和モダンな雰囲気がたまりません。
 
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 こちらの琥珀色の液体、一体何かというとクロモジウォーターと呼ばれるもの。
 黒文字というクスノキ科の樹木なのですが、抗ウイルス作用があるそうで、その枝は高級爪楊枝などに利用されています。
 品のいい香りをまず楽しんでから、料理へと進みます。
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 そら豆塩ゆで、山うど金平、ふきのとう含め煮。山うども美味しいですが、ふきのとう含め煮が絶品すぎて言葉を失います。どうしてこんなに山菜が美味しいのでしょう?
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 前菜三種は前回泊まった和泉屋のものと共通しており、湯治豚・菜々煮・醗酵豆腐というラインアップ。これに「あんぼ」が加わっています。こちらの菜々煮、人参が煮込んであるものなのですが、これがとてつもなく甘いのです。野菜由来の甘みがこれでもかというくらいにじみ出ており、ジュースに浸してあるかのよう。
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 湯治豚と醗酵豆腐。これがめちゃくちゃ酒進みます。やばいです。

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 木の芽鶉卵の巣籠り。木の芽とはあけびの新芽のこと。これをうずらの卵にくぐらせて食べます。新潟の伝統的な食べ方なのだそうですが、これがめちゃくちゃ美味い。語彙力がどんどんなくなっていく気がしますが、これをそのままご飯の上にドボンして食べても美味しそうです。
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 松之山なめこは大根おろしにレモンでさっぱり。
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 お刺身は予め味付けがされているので、醤油等をつけずそのまま食べられます。
 岩船産ホウボウポン酢ジュレ、魚沼美雪ます、富山産ホタルイカ、南蛮えび塩麹和え、づけマグロ。
 ホウボウなんて珍しい魚が出てくるのも、山の向こうにすぐ日本海が控えている新潟ならではです。
 海の魚と川魚の両方が出てくるのが面白いですね。当然日本酒が進みます。
 地酒は妻有くらべ(松乃井、天神囃子、霧の塔)にしました。
 日本酒だけでなく、ワインなども多数揃っています。
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 酒の話をしていたら来ました、大正義鯉こくです。柚子の浮かぶ優しい味わい。ここまででもうすでに感激していました。ここの料理、美味しすぎます。
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 ふきのとうとウドの天ぷら。サクサクしていて大変美味です。魚や肉も当然あるんですが脇役で、主役はあくまでも里山の山菜たち。A5ランクの高級和牛が出るわけでも、キンメダイの立派な煮付けが出るわけでもないんですが、山菜料理がとにかくハイレベルなのです。どうしてここまでレベルが高いのか。これは、松之山の人々が暮らしてきた歴史が詰まっているのです。いかにして山菜を食べるか。どうやってこの地でたんぱく源を手に入れるか。長年里山で生活し、自然と寄り添い、編み出してきた工夫のすべてがこの食卓に詰まっています。伝統を見つめ直し、自分のところで採れるものを極力使い、旅人に自身を持って振る舞うこの極上の山菜料理、「里山ごっつお」たち。もう脱帽です。
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 春の棚田鍋が出来上がりました。ピンク色に見えるのは赤大根。山芋、春キャベツ、雪下にんじん、大量のキノコ。豚は熟成地豚、越の紅。火が消えたら、おこげと塩の子を投入して混ぜていただきます。とろっとしたスープが春野菜を優しく包みます。
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 口の中でとろけてしまいそうな湯治豚。ただでさえ入浴して気持ちのいい松之山温泉ですから、豚がうまくなるに間違いありません。オレンジ色のソースは人参と塩の子をあわせたものなのだとか。塩の子、なにかと優秀ですね。かぐら南蛮は新潟の南魚沼周辺だけで栽培されているマイナーな野菜なのですが、さまざまな用途のために近年色々見直されているそうです。ぜひチェックしてみてください。
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 千歳伝統のけんちん。ぜんまい、里芋、昆布、豆腐、木の子。優しい味わいが山菜に染み渡っていて、もう涙が出るほど感動しました。野菜を食べてここまで感動した経験もないものです。旅先で様々な料理を食べてきたつもりではありますが、ここまで山菜に情熱を注いでいるところは稀有だと思います。すごいとしか言いようがありません。
 里山の自然ってすごいなって純粋に思いますし、生命の神秘に触れた気さえします。
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 味噌汁、野沢菜、胡瓜味噌漬とともに十日町産棚田コシヒカリがやってきました。白米の美味しさに完全にノックアウトされました。ご飯がご飯だけでめちゃくちゃ美味しい、それが新潟県です。職場で普段食べている弁当のご飯は一体何なんだろうと思います(笑)。
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 デザートはももの香りのするいちご、酒粕ババロア、金柑コンポート、チョコケーキ、キウイです。
 いやはや、ものすごい体験をしました。非常に満足度の高い、充実した夕食の一時でした。
 あの料理をまた食べるためだけでも、また泊まりたいです。
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 予約時の特典に貸切風呂の無料券がついていたので使ってみました。貸切風呂は「山の湯」「里の湯」二箇所あり、23時以降は開放されて予約なしでも入浴できます。開放直後を狙ってもう一箇所も入ってきて、部屋に戻ったらすぐにぐっすりと眠ってしまいました。

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 朝の日差しが差し込む大浴場「ほんやらの湯」。内湯は循環ろ過、露天風呂は源泉かけ流しです。ここもけっこう内湯のクオリティが高く、濾過しているとは思えないお湯の強さを感じられます。入るとすぐに肌がスベスベになり、松之山温泉特有の香りが胸いっぱいに広がります。写真に写っていない手前側の浴槽の一部が座湯のようになっており、ここに一度座るとあまりに気持ち良すぎて動けなくなります(笑)。
 露天風呂は月見の湯ほど広くはありませんが、こちらも里山の自然を感じながらゆったり入浴することができます。お湯の鮮度も良く、朝から松之山アロマを身にまとって最高の気分です。
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 食事処「里わ」でいただく山菜づくしの朝ご飯。松之山には「身土不二」という考え方が根付いていて、「地元の旬の食材や伝統食が体に良い」というものです。魚・肉はほとんどなく、あくまでも山菜が主役の「まんまの朝まんま」。朝食になるべく地元の料理を出そうという新潟「朝ごはんプロジェクト」のモデルケースを生み出したのが実は松之山温泉の取り組みなのです。それだけ先進的だったわけですね。
 陶板焼は山菜を味噌で焼くこの徹底っぷり。みらい納豆も大変美味で、最後までご飯を美味しく食べることができました。


○和泉屋 ふたたび
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 閉鎖されていた三階への階段を登っていくと、そこには温泉むすめ松之山棚美ちゃんの祭壇がありました。
 オタク用語でグッズを並べる場所を祭壇なんて言いますが、ここは本物の祭壇です。
 手元のスイッチを入れるとパネルがライトアップされるようになっています。
 松之山棚美ちゃんは最初ビジターセンターにパネルがあっただけで、十一屋商店が様々な活動を通じてアピールし、温泉街にまたたく間に広がり、なんだかすごいことになっています。
 松之山独自の取り組み方がとても面白く、ファンとしても楽しませてもらっています。
 ひなの宿ちとせでもポストカードが販売され始めました。ビジターセンターでは棚美ちゃんラテの提供、入浴剤の販売などグッズ展開も広がっています。今後どんどん活動が広まってくれると思います。
 松之山棚美ちゃんがいなかったらひょっとしたら、この素晴らしい温泉地を知ることがなかったかと思うと、本当に神様みたいな存在ですよね。


○手打ちラーメン 柳屋
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 いつも飲み会の〆に訪れるのでそんなに量を食べられなかったのですが、昼飯としてようやく訪れることができ、チャーシュー麺大盛りバター載せを注文しました。妻有ポークの湯治豚を使ったチャーシューがあまりにも旨いです。麺も松之山の源泉と米粉を練り込んであり、美味しくてあっという間に完食しました。
 こちらのお店にある棚美ちゃんのパネルは、かつて飼っていたうさぎのピースと一緒に描かれています。こうして、パネルに思い出が残っていくのも素敵ですね。


 たらふくラーメンを食べたあと、松之山温泉スキー場でもらった入浴券で鷹の湯に入浴しました。内湯はかなり熱めでしたが、露天風呂が気持ちよく、けっこう長湯しました。
 露天風呂から見える里山の長閑な自然。風呂の縁に腰を掛けて涼んでいると、爽やかな四月の風が吹き抜けていきます。肌に感じる塩分のコーティング感も松之山ならでは。今回の旅は越後湯沢を経由してそのまま帰路につきましたが、松之山温泉を探究する旅はまだまだ続きそうです。

# by kikuties12 | 2023-05-03 20:59 | 温泉  

松島名月まづ心にかかりて

 月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり。
 俳聖、松尾芭蕉の「奥の細道」序文には、自分が旅に出ようとしたきっかけの一つに「松島の月まづ心にかかりて」と記されています。
 舌状台地となっている松島町が面している松島湾は多島海となっており、その景観の良さから、松尾芭蕉の時代にはもうすでに旅人の憧れの地でした。
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 芭蕉が長い旅路を経てたどり着いた松島も、今は東北新幹線と仙石線を乗り継いであっという間に訪れることができます。仙石東北ラインで高城町まで行き、一駅戻って松島海岸駅に戻るルートもあります。駅を出るとさっそく松島名月ちゃんの看板が目に入ります。海岸へ向かってしばらく歩くと松島レストハウス。休憩所やコインロッカー、観光協会が入っていて、松島名月ちゃんのパネルも多数あり、グッズもたくさん取扱っています。
 ここから松島めぐりを始めましょう。
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〇仁王丸
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 まずは松島の全容を確かめるべく遊覧船に乗って松島湾を一周しましょう。代表的なコースに松島島巡り観光船の仁王丸コースと、丸文松島汽船の政宗コースがあり、どちらの船内にも松島名月ちゃんのパネルが設置されています。臨時運航便にはいなかったりするのですが、事前に乗船券を買う際にパネルの有無が名月ちゃんのアイコンでわかるようになっているのでとても親切です。今回は仁王丸コースに乗船しました。
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 さっそく見えてくる無人島。松の木が一本生えているだけの島にも名前があり、その由来が残されています。
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 例えば、こちら(下記写真)の島には大小四つの穴が開いていて、そこに波が打ち付けると鐘が鳴るような音がすることから、「鐘島」と名付けられています。
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 こちら(下記写真)が仁王丸コースの由来ともなった仁王島です。自然にできた島ですが、ゴツゴツと不思議な形状をしており、金剛力士、通称仁王の姿に似ていることからその名が付きました。長い年月を経て、波の浸食でこのような形状が出来上がっており、自然の神秘を感じることができます。
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 松島湾にはおよそ260もの島が存在すると言われています。そのひとつひとつに言い伝えがあり、どれだけ多くの先人がこの景観を愛してきたかをはかり知ることができます。かつては丘陵だったこの地は、地殻変動によって沈下し、山や丘の上の部分だけが海面上に残ってこのようになったと言われています。
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 遊覧船で大小さまざまな松島の島巡りをするのは、さながら巨大な盆栽の海を航行するようで、自然が作り出した芸術作品の中、波しぶきをあげて進んでいくような、そんな気にさせてくれます。 
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 沖合に出ると、少し波が強くなります。デッキで海風を浴びると心地よいです。やはり船はいいもんですね。
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 船はいつしか浦戸諸島へ。人が住んでいる大きな島もあり、東日本大震災の際は、こちらの島々が松島を守る自然の防波堤の役割をなしました。学校のある島もあり、生徒は塩釜観光汽船で通学しています。船で通学するのって、なんだかロマンがありますね。10年ほど前、マリンゲート塩釜から塩釜観光汽船に乗って野々島に降り立ち、椿のトンネルなどを見学したことがあります。当時は震災の爪痕がまだ色濃く、瓦礫にブルーシートがかけられて放置されているような状況でしたが、そこに住む人々は汽船に乗って通勤通学に勤しんでいました。
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 こちらは牡蠣の養殖場。親潮と黒潮、津軽海流が混ざり合う宮城沿岸は滋養たっぷりで生食用の新鮮な牡蠣がウリです。
 松島湾周辺は古くから海苔、わかめ、浅利、昆布などの浅海漁業が発達してきた土地です。加熱用も含めた全体の牡蠣生産量は広島県が一位ですが、生食用牡蠣の生産は宮城県が全国一位。広島の牡蠣と比べて大きさは小さいものが多いですが、味が濃厚でクリーミー、生で食べても美味しいのが松島牡蠣の特徴です。
 松島で牡蠣の養殖が始まったのは先述した野々島が発祥と言われています。島に暮らし、古くから海を見つめてきた人々が、様々な知恵と努力を重ねて今こうして美味しい牡蠣をいただくことができます。
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〇松島観光協会かき小屋
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 観光協会が牡蠣食べ放題を直営しているっていうのが驚きでしたが、行ってみて納得しました。ここはめちゃくちゃ楽しいです。
 事前予約制と記載されていますが、平日など空いている時間帯は飛び込みで行っても大丈夫です(ルーラ決済は事前予約不可)。僕は特に待つことなく入れましたが、待合室に名月ちゃんもいるので問題ないでしょう。
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 水揚げされたばかりの新鮮な松島産牡蠣。実をいうと、ここに来るまで自分はそこまで牡蠣が好きではありませんでした。出されたら食べますが自分から食べることはあまりなく、苦手なのかなあとぼんやり思っていた程度だったのですが、やはり本当に美味しいものを食べたかどうかで人の好みは二分されると思います。
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 他の観光客とともに机を取り囲み、ワイルドに牡蠣を蒸し焼きにしていきます。事前にレモンと飲み物は買っておきます。軍手と小さなナイフを渡され、ゴーサインが出たら食べ放題開始。
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 いやね、めちゃくちゃ美味いんですよこれ。とんでもなくクリーミーで、するっと食べられちゃいます。
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 おばちゃんが観光客慣れしていてとても面白く、自分で牡蛎を選ばなくてもよいしょよいしょと牡蛎を向いて皿に載せてくれます。まさに牡蛎のわんこそば状態。陽気なおばちゃんの「アイムソーリー、ヒゲソーリー」とダジャレの飛び交う牡蛎小屋内。中には身をまとめて飲み干している人もいました。
 別料金で牡蛎めしも注文できます。
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 夢中になって牡蠣を食べていたので、写真もあまり撮れずあっという間に食べ放題時間が終了しました。これが、自分と松島牡蠣の衝撃的な出会いでした。これを期に、すっかり牡蠣の虜になってしまったのです。



〇松島レトロ館
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 腹が牡蠣でたっぷたっぷになったあと、ふらっと立ち寄ってみたのは松島レトロ館でした。
 そこまで広い建物ではないのですが、館内に昭和レトロな雑貨、看板、おもちゃ、生活用品が所狭しと並んでおり、「ああこんなのあったなあ」と感慨に耽ることができます。当時の書籍や漫画などを読むことができますし、スロットやけん玉などで実際に遊ぶこともできるので、友達と来てワイワイ楽しむこともできるスポットです。
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 こちらも夢中になっちゃってあまり写真が撮れませんでしたが、昔の寝台列車をたくさん載せた本や、スイッチを入れると段差で魚の口が開いて口に釣り竿の先をひっかけて釣り上げる魚釣りゲームなどとても楽しかったです。気軽にふらっと入れて時間をつぶせるのもいいですね。



〇ザ・ミュージアム 松島オルゴール館

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 古今東西、数多くのオルゴールを展示した博物館です。
 一階は横浜にある「ブリキのおもちゃ博物館」館長である北原照久氏の集めた数多くのおもちゃが展示されています。スターウォーズのお面があったり、ユニークな動きを見せるモーションディスプレイなどを楽しむことができます。ミュージアムショップやカフェも併設。
 そして二階にはベルギー王立博物館から松島にやってきた貴重なオルゴールの数々が展示されています。オルゴールと聞くと、金属製の円筒にピンが付いていて、回ると金属板をはねて音を奏でるものを思い浮かべますが、他にも円盤に穴が開いていて、回すことで音を奏でるディスクオルゴールなど、その種類は多岐に渡ります。
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 ザ・ミュージアムの二階ではこれらの貴重なオルゴールを実演してくれます。ホール内に響き渡る古の音色は圧巻。
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 このド派手な機材もオルゴールのひとつ。パーカッションやアコーディオン、吹奏楽器などが並んでおり、演奏が始まるとド派手に光りながら目でも楽しませてくれます。
 こういった大型のオルゴールは、ジュークボックスの役割でレストランやパブなどに置かれ、コインを入れることで楽しまれたようです。
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 そしてこちらがベルギーコンサートオルガン「ベルベック」。1920年に製造され、笛の数は619本、19の音色を奏でる巨大オルガンです。ザ・ミュージアム松島では、入場時にリクエストすると温泉むすめの定番曲「青春サイダー」をこちらのオルガンで演奏してくれます。
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 100年以上前、ベルギーで製造されたベルベックが奏でる、現代日本のポップカルチャー音楽。その音色は力強く、機知に富んでおり、奇跡の融合と言うべきでしょう。流行りの電子音をさまざまな楽器でクリアして、次々と音色が変わっていくのがとても面白いです。


 こちらのYoutubeで冒頭のみ視聴することができますが、やはり現地に行って聞いてみると迫力が段違いです。聞いていると思わず目頭が熱くなりました。温泉むすめファン必聴だと思います、ぜひフルコーラスでお楽しみください。



〇湯の原温泉 元湯霊泉亭
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 松島海岸駅脇の坂道をずっと登った奥、観光地松島の賑やかさから遠く離れた高台に湯の原温泉霊泉亭は位置しています。
 今から1100年ほど前、慈覚大師の法力によって沸いたとされる温泉です。当時は湯温もあったそうですが、天変地異によって湯温が下がり、今も冷鉱泉として湧出しています。
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 メタケイ酸の数値で温泉法上の温泉に認められている冷鉱泉(泉質名なし)を加熱して浴槽に流しています。日帰り入浴を比較的長い時間受け付けているのが特徴で、地元の方が多く利用されている印象でした。浴槽が一つあるのみの浴室ですが、さっぱりとした無色透明の湯が満ちています。
 もちろん宿泊することもできます。昔ながらの湯治宿の雰囲気を松島で味わうのもいいかもしれません。湯の原温泉の近くには日帰り温泉の芭蕉の湯もあり、そちらで飲食することも可能です。



〇松島海鮮もり田

 牡蠣食べ放題以来、松島の牡蠣を色んな方法で楽しみたいと思い、松島で牡蠣めぐりをしてみることにしました。
 まずはこちらの松島海鮮もり田。夜も営業している便利なお店です。
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 まずは蒸し牡蠣単品を。シンプルにレモンをかけていただきます。二個で750円という安さ。うれしいですね。
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 飲み比べセットは浦霞、綿屋、花の文。
 なんだかんだ、浦霞は海産物に合う銘酒だと思います。
 純米吟醸とかよりも、本醸造が好きです。
 加美町にある中勇酒造の花の文もとても美味しい。
 追加で名取市佐々木酒造店の玲瓏をいただきました。宮城地酒もいいですね。
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 かき飯。かきの出汁で炊いたご飯の上に、甘く煮た牡蠣がずらり。アナゴとの合い盛り丼も可能です。
 ぷりっぷりの牡蠣はそのまま食べても美味しく、ミルキーで最高です。
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 ほっき貝の刺身。身の締まった東北沿岸のほっき貝はうま味があって絶品です。
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 ほやの天ぷら。昔、気仙沼で獲れたてのほやを食べてその味に感動しました。ほやは新鮮かどうかで味が大きく異なる海産物だと思っているので、いまいちなほやを食べてほや嫌いになる人が多くて少し残念な気もします。こちらのほや天ぷらは嫌味が全くなく、ふっくらと美味しく食べられました。



〇かき松島こうは
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 松島海岸駅前に小さい店舗を二つ構えているお店です。店舗の飲食だけでなく、生牡蠣のインターネット発送や、牡蠣関連商品の開発販売をしています。
 ビール付オイスタープレミアムBセットを注文。まずは焼き牡蠣、生牡蠣、炙り牡蠣の三種セット。
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 牡蠣のオイル漬け。アヒージョなど、洋食とも相性のいい牡蠣。ワインとの相性も抜群で、店内で牡蠣用のワインも楽しめます。
 こちらの牡蠣オイル漬は瓶を店頭販売しているほか、ネット注文でも購入できます。
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 かき松島こうは名物の牡蠣ひつまぶし丼です。ご飯の上に牡蠣の甘煮がたくさん載っています。
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 途中まで食べたらオイスタースープをかけてお茶漬け風に。薬味と牡蠣スープ、甘煮が奏でる牡蠣づくしのハーモニー。満たされました。



〇和食めん処 誉旨(yoshi)
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 こちらは松島名月ちゃんの缶バッチを取り扱いしているお店です。ルーラコインも利用できます。
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 場所は松島レストハウスの道を挟んですぐ裏手にあり、座席から松島湾を一望できます。こんな景色を見ながら美味しい料理を名月ちゃんと楽しめるなんて最高ですね。店員さんもとても親切でした。
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 こちらが誉旨の牡蠣まみれ定食。牡蠣酢、焼き牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣鍋とまさに牡蠣づくし。こういうのが食べたかったんですよ!
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 牡蠣酢はあっさりレモンと共に。
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 牡蠣フライはソースをつけなくても十分美味しいですが、ソースをつけてももちろん楽しめます。
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 そして牡蠣鍋! ぐつぐつ煮込まれた牡蠣はもちろん、牡蠣スープを吸い込んだ野菜まで美味しく、心の中まで牡蠣で満ちていく冬には最高の料理です。思わず日本酒が進みます。ああ、これを一生食べていたい。
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 ちなみに、海産物が苦手な人向けに仙台牛のメニューもあります。そばも食べられてバリエーションはとても豊富。宮城県、食材の宝庫で本当にいいところだと思います。
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〇げんぞう
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 カメラを持った名月ちゃん。かつて、松島の観光写真を取り扱っていたお店だそうで、写真の「現像」からげんぞう、という店名がついたそうです。
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 五大堂の手前にある屋台風のお店で、注文すると番号札を渡され、調理が終わると呼び出しがあるスタイル。裏のベンチで潮風を浴びながら優雅に焼き牡蠣や牛タン串焼きをアウトドアで楽しむことができます。
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 宮城の日本酒「伯楽星」と追い牡蠣。少しポン酢をかけて食べるのもいいですね。
 こちらでは、松島名月ちゃんの酒升を取り扱っています。昼から牡蠣と地酒で松島を楽しみつくしましょう。



〇たいかん亭 グリル玉屋
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 松島海岸駅の南側に位置するリゾートホテル、ホテル松島大観荘の姉妹店が松島海岸にあります。一階は土産店、二階が洋食中心のグリル玉屋、四階が和風レストランの五郎八になっています。
 こちらの松島名月ちゃん、クリスマス仕様で赤い服を身に纏っていました。おそらく服の部分を上からきれいに貼り付けているのでしょう。とても手の込んだパネルに驚きです。
 
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 たいかん亭も日本三景松島を望む好立地。大観荘は洋食も有名で、長いコック帽子を被ったシェフが店の奥で料理を準備してくれます。
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 こちらが松島名月ちゃんプレート。名月ちゃんのランチマットが特典でついていきます。
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 野菜とパン、カキフライ、そしてアサリと笹かまぼこのイカ墨パスタ。イカ墨の練りこんであるパスタにオリーブオイルが効いており、ペペロンチーノ風に仕上がっています。松島名月ちゃんの大好物である笹かまぼこを炒めてパスタと合えてあり、上品な出来栄えに思わず唸ってしまいました。デザートのクレームブリュレも甘くてクリーミー。海産料理ばかり食べているとどうしても野菜が不足しがちになるので、こういうを挟むといいかもしれないですね。洋食の玉屋ですが、牡蠣を存分に楽しむ和食料理もありますし、肉料理もありますので、いろいろ食べ比べするのもいいかもしれません。



〇BAY OYSTER
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 おしゃれなオイスターバーです。宮城地酒はもちろん、洋酒も数多く取り揃えており、ピザや牛タン、ソーセージ、パスタ、パンケーキ、各種デザートなど料理も多数取り揃えています。惜しむらくは夜営業がないこと。17時30分までやっているので、昼から飲むにはもってこいですが、できればここは夜に訪れたい……。
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 もう、とてつもなくオシャレなんですよ。隣の席の団体が牡蠣を注文したら、イギリスのアフターヌーンティーに出てくるようなスタンドに牡蠣が盛られていたりして、思わず笑っていましたね。
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 ウィスキー宮城峡のハイボールもありますし、もしここが夜営業していたら夜通し居られる自信があります。
 とりあえずビールは宮城マイクロブルワリーの仙臺六拾弐萬石ヴァイツェンを注文。ヴァイツェンって、ドイツ産のものが圧倒的においしくて、国産のものはいまいちな印象がありましたが、これはなかなか美味しいです。きちんと小麦粉のうまさが出ている気がします。
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 手前がカクテルソース、奥がキルパトリック。
 キルパトリックってなかなか聞きなれない料理ですが、オーストラリアのタスマニア州で伝統的に作られていた料理で、ベーコンと牡蠣をウスターソースで焼き上げたものなのだとか。牡蠣とベーコンって不思議な組み合わせな気がしなくもないですが、ベーコンの脂が意外と牡蠣との相乗効果を生み出して美味しいんです。
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 大葉オニオンとオニオンチーズ。牡蠣のクリーミーさと玉ねぎの甘味が絶妙にマッチして、もう口の中が大変幸せでございました。一緒に注文した石巻墨廼江酒造の「墨廼江」も洗練されたお酒で思わず牡蠣が進みます。そう、松島は牡蠣料理のパラダイス。こんな店が地元にあったら最高だなあと思いつつ、これも旅行の醍醐味なんだろうと思うことにしました。



〇うな真 石田家
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 松島名月ちゃんファンが足繁く通うお店がこちら。店員さんの名月ちゃん愛がすごいです。
 入店したら「松島名月ちゃんに会いに来てくれてありがとうございます!」ととても親切に接客してくれます。
 こちらのクリスマス衣装の名月ちゃんですが、ちょっとした仕掛けが施されているので、ぜひお店で確かめてみてください。
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 日本酒と料理を注文すると、店員さんがわざわざパネルを持ってきてくれました。目の当たりにすると本当にかわいいですよね。
 
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 味噌漬けの牡蠣もまた美味しいです。
 こちらはもともと鰻料理のお店のようですが、焼牡蛎も生牡蠣も一つから注文でき、定食や海鮮丼も充実しています。
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 石田家のかき丼は親子丼と似たスタイルです。ご飯の上にふわふわの玉子と牡蠣が載っていて、ペロッと美味しく食べられちゃいます。 ご飯の大盛も無料とのことでした。食後にはコーヒーまでサービスしてくれて、胸いっぱいになってお店を後にしました。
 こちらのお店は夜の営業もやっていてありがたいです。


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 ここまで魅力満載の松島ですが、残念なことに宿泊客は平成になって以来減少傾向に転じており、2011年の東日本大震災、そして近年のコロナ禍と東北の他の観光地と同じく打撃を受けています。
 また、仙台駅周辺のビジネスホテルに泊まって、昼は松島観光といった具合に、「滞在型」ではなく「通過型」の観光様式が目立ってきているのも背景にあります。松島は東京からでも日帰りできるほど交通の便が良く、せわしなく名所だけを観光してすぐに帰ってしまうバスツアーや修学旅行が多いのも事実です。

 宿泊客の伸び悩みを解決するべく、松島の人々が頼ったのが「温泉」の存在でした。かつて温泉の掘削に失敗したこともありましたが、仙台急行(現・マリンピア)が2007年に松島温泉1号泉の掘削に成功。一の坊も温泉をボーリング調査で探し当て、松島温泉組合が結成されました。「太古天泉 松島温泉」のキャッチコピーをもとに、八か所の温泉施設が組合に加盟しています。温泉のある宿泊施設を増やすことで宿泊客を招き入れ、「滞在型」の松島観光をしてもらうべく動き出したのです。

 エンバウンド社の地域活性プロジェクト「温泉むすめ」も積極的に導入し、宿泊施設はもちろんのこと観光船やかき小屋、博物館、寺院に至るまで多岐に渡る観光地に名月ちゃんパネルが設置されています。松島名月ちゃんのパネルをめぐるだけで、松島観光ができてしまうという、とても便利なコンテンツでもあります。


〇絶景の館
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 日帰り入浴も受け付けている温泉宿泊施設です。
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 オリジナルパネルの展示、アクリルキーホルダーや温泉の素を販売しています。近年ルーラコインが使用できるようになりました。
 仲居さんと同じ格好をした名月ちゃん、とても愛らしいです。
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 内湯・露天風呂ともにオーシャンビュー。福浦橋周辺のスポットを望める「絶景の館」で看板に偽りなしです。
 温泉はマリンピア㈱の松島温泉1号泉。通常、海沿いの温泉地は塩分を多く含んだ海水に近い成分になることが多いですが、成分表をよく見てみると塩化物イオンよりも炭酸水素イオンの割合が多く、ヌルっとした感触のアルカリ性単純泉となっていて、なかなか珍しいなあと思いました。とにかく肌触りがよく、山沿いの温泉地に来たような感じです。
 日本三景を眺めながら温泉にゆっくり浸かる。とんでもなく贅沢な時間です。
 松島自体は自分も訪れたことがありましたが、温泉むすめが始まる以前は宿泊したことはなく、温泉むすめきっかけにこんなにいい場所だったのかと気が付くことができて感動ひとしおでした。



〇瑞巌寺・円通院ライトアップ
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 温泉以外にも、夜を通して松島に滞在する魅力があります。
 秋の紅葉シーズン、国宝瑞巌寺と隣の円通院が華麗にライトアップされます。
 片方だけの拝観ももちろん可能はありますが、せっかく行くなら瑞巌寺と円通院どちらも見に行くことを強くお勧めします。
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 瑞巌寺では、入館するとこのような手持ちの行灯を手渡され、境内を練り歩くことができます。
 普段は立ち入ることのない、夜の宗教施設はちょっと背徳的で不思議な感じがしますね。
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 ライトアップと聞くと、どうしても洋風の文化だったり、都会的な感じがしますが、こういった日本古来の宗教施設と、光の幻想的な組み合わせは意外にもしっくり組み合わさるのだと感心しました。枯山水庭園は淡く黄緑色にライトアップされ、ロマンチックです。
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 そしてお隣の円通院。手持ちの安物デジカメではその魅力を伝えきれないのが悔しくてしょうがないのですが、境内のもみじが美しくライトアップされており、思わず息を飲むような和の絶景に驚かされます。
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 夜空に燃えるような紅葉。
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 岩窟からシャボン玉が噴き出ては暗闇に揺らめいています。このあたりの地形は絶えず波に浸食されてきており、独特の岩肌とライトアップの相乗効果もたのしめます。中庭では和楽器の演奏が行われており、松島滞在の観光客はその魅惑的な景色に酔いしれていました。
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 そして、最も感銘を受けたのがこちらの鏡池でした。凍てつくような寒さの中、ライトアップされた紅葉が波一つ立たない池に反射し、逆さまに生えて見えます。
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 道行く人も立ち止まり、その幻想的な光景をうっとり眺めていました。円通院は仙台藩主二代忠宗の次男である光宗の霊廟。19歳の若さで亡くなった光宗の死を悼んで忠宗が作った寺院で、「雲外天地の庭」は松島湾をモチーフとして作られています。
 10年ほど前になんとなく瑞巌寺へ立ち寄り、その岩窟の不思議な風景はなんとなく記憶に残っていましたが、こうしてライトアップされた姿を眺めると、大人になってからちゃんと松島に滞在して本当の姿を見ることができてよかったなあとしみじみ思いました。



〇松島センチュリーホテル
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 松島海岸の観光名所にほど近い大型のホテルです。こちらを夕食付プランで宿泊してみました。
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 こちらの宿にも松島名月ちゃんがいます。売店では、絹肌の湯入浴剤を販売。
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 とにかく館内が広いです。館内に居酒屋もあるので食べるのに困ることはありません。
 部屋のベッドがシモンズ製で嬉しゅうございました。デブにはとてもいいんですよ、シモンズ製のベッド。
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 温泉は先述した「絶景の館」と同じ松島温泉1号泉を使用。大浴場は広々としており、ややぬるめの浴槽とややあつめの浴槽に分かれています。特筆すべきは二か所ある露天風呂。それぞれが松島の海岸を望むオーシャンビューとなっており、すぐ真下に道行く人が見える臨場感。それにしても、日本三景を眺めながら温泉入浴ができるのは松島の特権だと思います。
 翌日の日の出の時刻も浴場に記載されていました。あいにく、雲が大目できれいな来光は見られませんでしたが、時間帯で変わる松島の風景を、温泉で暖まりながら眺めるのは幸せです。
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 ドリンクコーナー。抹茶オレなど、ロビーで飲んでもいいですし、部屋に持ち帰るのも可能です。

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 こちらの夕飯は少し変わっていて、最初はコース料理のように決まったものが出てくるのですが、メインディッシュは三種類から選ぶことができ、さらにオープンキッチン料理の天ぷら・牛タン・ポークステーキは希望制の食べ放題になっています。バイキングとコース料理のいいとこどりみたいな感じで、たくさん食べる人には嬉しいコースでした。
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 さすが松島、お刺身の鮮度も見事です。海の幸を味わえる温泉地っていいですよね。

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 煮物も優しい味わい。
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 仙台牛ソーセージ・ジェノバ風。黒毛和牛の最高級品です。これが美味しくないわけがない。
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 金時草・蒸しほや・三陸産メヒカリ・えびの天ぷら。ほかの天ぷらもおいしかったですが、ほやの天ぷらがとにかく美味しい。おかわりし放題です。
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 お代わりし放題のポークステーキ。スパーシーで味わい深いです。
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 そして仙台名物の牛タン。これが時間内なら何皿でも注文可能になってるのは本当にすごいです。宿代から考えてもかなりの高コスパなのではないでしょうか。札を店員に渡すかキッチンに持っていけば何回でも運んできてくれるスタイル(天ぷらは好きな品目を紙に書く)なので、がっつり食べたい人には天国です。
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 海鮮炊き込みご飯。
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 卵豆腐とわかめそばのお吸い物。
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 デザートはバイキング。仙台名物のずんだもちを始め、魅惑のスイーツがずらりと並んでいました。
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 あとで居酒屋に行く気満々でしたが、この日はさすがにお腹一杯になってしまい、そのままぐっすりと寝てしまいました。シモンズ製のベッド、とても心地よかったです。

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 朝食もバイキングで、牡蠣の入ったグラタンが食べられたり、ずんだシェイクが味わえたりと思う存分楽しめました。
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 シティホテルのような利便性がありながら、風光明媚な景色と温泉、魅惑のグルメが堪能できるいい宿だと思います。次回はぜひ、評判の高い館内居酒屋を利用してみたいです。




〇小松館 好風亭
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 絶景の館の表側、というべきでしょうか。福浦橋を望む絶好のロケーションに位置する宿です。今回、安いプランで部屋に眺望のないプランを選んでみたのですが、管内の随所で松島の景色は眺められますし、部屋は寝るだけだと割り切っちゃえばかなりお得に泊まれると思います。朝食がとても美味しかったので、夕食付プランにしなかったのが少々悔やまれますが、次回の課題としたいと思います。
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 こちらの宿も名月ちゃんのパネルが設置されており、売店でアクリルキーホルダーが販売されています。チーズ味のクッキーがおいしいとのことですが、大好評で在庫なかったのでこちらも次回の課題にしましょう。
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 入館するとバーラウンジでお抹茶をいただくことができます。ウェルカムドリンクも同時にいただくことができ、リクエストをすると持ってきてくれます。なんと、宮城地酒もウェルカムドリンクでいただけました。とてもウェルカムな感じが伝わってきました。蒼天山という地酒でした。
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 バーラウンジの奥に足湯があり、行ってみるともう周囲が日本三景に取り囲まれているような足湯で解放感抜群、マジックアワーの松島を見つめながらじっくり日本三景に身を投じることができます。こうやってなんでもない時間にくつろぐ時間があることこそ、温泉旅館に滞在する醍醐味だと思います。
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 小松館好風亭、部屋を案内していただいた女将さんもとても気品のある方で、従業員さんの接客レベルも非常に高いと感じました。皆さんすごく好印象で、ああいい宿に来たなあと切に思います。こういう心配りがちゃんとできる宿ってとても貴重だと思います。
 順番が前後して大変申し訳ないのですが、先に小松館の朝食をレビューさせてください。「美味しい三段重朝食プラン」とのことで、ツイッターに投稿しようとしたら「三段重」が漢字変換で「散弾銃」になりかけて危うく消しました。
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 朝食にも献立がついていてとても本格的。朝のしあわせ三段重は一の重「しらすおろし、数の子松前漬け」、二の重「笹かまぼこ、筑前煮、胡麻豆腐」、三の重「銀鮭塩焼き」という構成です。しらすおろしはレモン風味が効いていてとても食べやすく、筑前煮の美味しさが感動的でした。
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 茶碗蒸しにはでっかい牡蠣が入っていてテンションあがりました。ご飯は白米か浅利の炊き込みご飯を選択でき、朝から活力をいただくことができます。
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 また、献立表には載っていませんが、クロワッサンもいただくことができ、これがふっくらしていて絶品でした。朝食の感じからして夕食もかなりレベルが高いものと思われます。ぜひまた足を運びたいところですね。
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 さて、小松館好風亭には本格的なラウンジバー「汐風」があります。メニューには松島名月ちゃんが描かれているのですが、宮城地酒はもちろんウィスキーやワイン、カクテルなど幅広く洋酒も取り揃えており、お酒好きには嬉しいところです。
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 まずは宮城峡のロックを注文。秋保温泉へ訪れた際にその味を知ることができたウイスキーです。作並温泉に醸造所があるので、ぜひ足を運んでみたいです。
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 本格的なカクテルもあります。こちらはマンハッタン。メニュー表にないカクテルも作れるとのことで、いろんな楽しみ方ができるなあと思いました。こうして、松島の夜は更けていきます。
 もう少しバーでお酒を傾けたい気もしましたが、そろそろ予約の時間になったのでいったんロビーに足を運びます。鍵を受け取り、エレベーターで下の階へ移動すると、「貸切風呂 朝日立見の湯」の扉をくぐりました。
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 左手の浴槽が深くなっていて(水深130cm)、立ちながら目の前の景色を眺められるという露天風呂になっています。湯気がもうもうと立ち込めて、冷え切った素肌を温泉に身を投じると、温かく包み込むようにじんわりと肌を温めてくれました。
 夜の帳はすっかり降りていて、目の前に広がっている日本三景もあまりよく見ることはできませんでした。それでも、日本三景に身を投じて入浴しているという実感は湧いてきて、こうして33歳最後の日にこうして温泉むすめの縁をきっかけに松島で入浴していることを考えると、とても感慨深いものがありました。
 ふと頭上を見上げると、雲の向こうに朧気な月が浮かんでいました。悠久の昔、松尾芭蕉がどうしてもどうしても見たくて、遠路はるばる、みちのくの旅路を歩いてようやくたどり着き、感慨に耽ったものと同じ松島の月が頭上に輝いています。こうして温泉に浸かりながら、松島の月を眺められるのも宿泊者の特権なのです。
 忙しい現代ではありますが、松島でゆっくり月を眺めるくらいの贅沢を、たまにはしてみてもいいんじゃないでしょうか。松島の温泉むすめが名月ちゃんと名付けられた理由もなんとなくわかった気がします。

 松島の月 まづ心にかかりて

 月明りが銀色の波となって海を照らし、日本三景を照らす、そんな幻想的な夜。ぜひ何度か松島を訪れて、松尾芭蕉が、松島名月ちゃんが見上げたその月を、また堪能したいと切に思っています。
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# by kikuties12 | 2022-12-26 15:36 | 温泉  

松之山ライフのすゝめ

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〇鷹の湯

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 新しく松之山棚美ちゃんのアウトドアSDパネルが登場した日帰り温泉施設「鷹の湯」。パネルは温泉街から少し離れたところにある大厳寺高原キャンプ場と同じもので、キャンプ場ではタペストリー、鷹の湯では缶バッチが販売されています。

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 鷹の湯は循環式ではありますが、松之山温泉のアロマを手軽に楽しめる施設です。前の記事でも紹介したとおり、松之山は濃すぎる温泉ですので、循環するくらいがちょうどいいのかもしれません。
 温泉は1キロあたりに何gの溶存物質が入っているかで濃さの指標が定められています。人間の体液は1キロあたり約8.8g、対して松之山温泉は約16gもあります。

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 人間の体液と同じくらいの温泉を等張性泉、溶存物質が8g未満の温泉を低張性泉、10g以上の温泉を高張性泉と呼びます。
 ちょっとややこしい話になるのですが、半透膜で仕切った二つの濃さの異なる液体を並べると、同じ濃さになろうとするため、膜を通り抜けて成分が移動します。これは人間の皮膚も同じで、高張性の温泉に入ると温泉成分がヒトの皮膚を通り抜けて身体の中へ入ってくるのです。松之山の源泉に入ると、知らず知らずのうちに温泉成分が身体の中に入り込んできて、そのありがたい薬効をただちに得られるわけです。日本三大薬湯に数えられてきた理由の一つでもあります。

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 同時に、高張性の温泉だと身体から水分が逃げていくので、入浴前後の十分な水分補給と「湯あたり」への注意が必要になります。濃い温泉への入りすぎには注意しましょう。温泉に入る時はぜひ浸透圧も意識してみてください。
 鷹の湯の内湯はシャキッと熱め。短時間でみるみるうちに身体が暖まるので、火照った身体を休めるために露天風呂へ行くと、裏山の自然が目に飛び込んできます。ひんやりと吹き渡る風、どこからともなく聞こえてくる野鳥の鳴き声。そして眼下には川が流れています。

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 この川ですが、自然の川なのかなと思いきや、川底が平坦にできており、水が一定数流れてきます。ごつごつとした岩や石はなく、どうして人工の河川なんだろうかと少し疑問に思っていましたが、松之山の温泉の香りに再び包まれると些細な悩みは飛んでいってしまい、そのまま忘れてしまいました。石油だのカモミールだの干し草だの、様々な言葉で松之山の香りが形容されていますが、本当に唯一無二のアロマで、わざわざ山奥の雪国まで嗅ぎに来る価値があるものです。



○白川屋
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 昭和58年、白川屋の建物をリニューアルした際に社長が「新しい建物にふさわしいユニークなお風呂にしたい」という考えを巡らせ、ある日の夢のなかにおっぱいのイメージが浮かんできて、「そうだおっぱい風呂を造ろう」ということになったそうです。

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 おっぱいの露出した石像から温泉が溢れ出てくる構造なのですが、実は松之山の源泉が濃い・熱いため、通常の石材では簡単に劣化してしまうことが判明。おっぱい風呂造りは困難を極めました。

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 専門業者が世界中の石材を調査して回り、どうやらポルトガルの石材が有効だと判明。船ではるばる運んできて作り上げたのが初代「おっぱい風呂」です。

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 大浴場の隣にある小浴場には「こっぱい」が造られ、こうしておっぱい風呂の白川屋が生まれました。このあたりの経緯は白川屋のホームページにも記載されています。

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 いかんせん「おっぱい」のイメージが先行しがちですが、情緒あるとてもいい旅館だったのを強調させていただきます。特に女将さんの真心こもったおおらかな接客がとても良くて、車好きなご主人もちょっと前に来ていた温泉むすめファンの痛車がどうこう改造してあってすごかったという話を熱心にしてくれました。

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 何一つ不自由しない清潔な和室。ドリンクのメニューを開くと、「おっぱい2200円」と書いてあって思わず笑ってしまいました。

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 部屋から階段を降りると大浴場まですぐです。「おっぱい風呂」の表示があり、女将さんに風呂の写真を撮っていいかと尋ねると快諾していただきました。

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 ぬるめの湯がおっぱい像からひたすらに溢れ出てくるシュールすぎる光景。
 外に出ると滝見露天風呂があります。こぢんまりとした庭園風の眺望ではありますが、それが松之山らしく温泉情緒に秀でています。

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 今回は朝食のみプランで宿泊したため、夕食は外で食べることにしましたが、朝食で出てきた米がひたすらに美味しく、気が付けばお櫃が空になっていました。

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 温泉は大地からの恵みであり、おっぱいだけでなく男性器を象った崇拝対象を奉っている温泉施設は全国各地に存在しています。それらは生命力の象徴であり、人間が生きていく上で必要不可欠なエネルギーなのです。

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 堅苦しく世知辛い都会を抜けだし、古き良き日本の里山で、おっぱいから溢れ出る濃厚源泉に身を委ねてみれば、自然と松之山の薬効が身体に染み渡って、心まで満たされることでしょう。生命の息吹を感じられる松之山ライフも悪くないもんです。

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○滝見屋
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 ぼんやりとした灯 無口な女はいないが 無愛想の親父が一人。

 松之山温泉の入口にある大人気のそば屋で、お昼時は満席になることも多々あるとのこと。
 十日町産の蕎麦「とよむすめ」を使用。気象条件でそば粉のコンディションが変わるので、調整しながらそば打ちをしているそうです。つなぎには青森産の布海苔を使用していて、ツルっとしたのど越しが楽しめます。
 下の写真はなめこそば。とんでもなく巨大ななめこが入っていて、肉厚すごかったです。

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 そして滝見屋のもう一つの魅力が天ぷらです。現在、厨房に立っている息子さんは元々天ぷらなど和食の修業を積んできた方で、この技が松之山特産の野菜と出会うわけです。

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 秋の菌類や甘い南瓜も絶品ですが、なんといっても春の山菜がおすすめとのこと。寒く長い冬を重い雪の下でひたすら耐え、春になって芽吹いた雪国の野菜はその生命力が違います。雪下にんじんの甘さ、ふきのとうの淡い苦み、うどやこしあぶら等といった数々の山菜を、程良く揚げて一番美味しい状態で食べることができます。特に野菜のかき揚げは技術を要する自慢の逸品だそうです。

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 滝見屋さんはご家族で経営されており、配膳をしていた奥様もとてもフレンドリーな感じでついつい話が止まりません。もちろん地酒も用意されているので、昼から飲むこともできます。秋におじゃました際は、南瓜をカレー味に整えたおつまみが出てきて、そのふっくらとした食感と甘みに感動しました。

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 かぼちゃのかき揚げもとても美味しいです。原材料がいいのはもちろんなのですが、ふわっと食べられるこの揚げ方には脱帽です。はじめのうちはバラバラになっちゃったり、くっついちゃったりと難儀したそうです。確かにこれ、どうやってまとめてかき揚げにできるのか、見ただけではさっぱりわかりません。

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 滝見屋さん、寒い日のカレー南蛮もおすすめだそうで、季節ごとにおじゃまして旬の天ぷらを味わうのが癖になりそうです。名水で淹れたコーヒーも名物なのだとか。夜はジャズの流れるおしゃれな空間に。松之山の蕎麦と、地産野菜を最もおいしい方法で食べられる名店だと思います。会話も楽しく、人気が出るのも頷けます。最近、生そばの発送を始めたのだそうで、自宅でも滝見屋の美味しい蕎麦を食べられるようになりました。ぜひお試しあれ。



○寿々木
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 なんで山で魚なの!? だって松之山はその昔海だったから。

 実は後述する民宿みよしやのご家族が経営されている、地魚料理とつなんポークが名物の食堂です。

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 魚料理が美味しいのはもちろんなのですが、嬉しいのが新潟地酒がとにかくたくさん揃っていること。メニュー表に地元十日町のみならず、柏崎や佐渡まで幅広く扱っており、とにかく松之山で外食するときに新潟地酒をたくさん飲みたい方にはイチオシです。メニュー表に掲載していないお酒も仕入れ次第で入っているかもしれません。

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 料理は黒板に書かれていて、日々旬のものが更新されていくスタイル。料理の種類も非常に多くて何を食べればいいか迷っちゃうほどです。

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 刺盛を注文したらとんでもない量が出てきてびっくりしました。

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 日本酒は柏崎の「銀の翼特別本醸造」を注文。それにしても、新潟は山奥でも新鮮な海の幸が美味しい地酒とともに味わえるので本当にたまりません。旅先での食のレベルが高水準だと思います。

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 とりわさと鱧の磯辺揚げ。鱧はジューシーでふっくらしています。佐渡の真野鶴があったので注文しました。

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 かぐら南蛮とクリームチーズ生ハム巻。かぐら南蛮は新潟の伝統的な唐辛子で、甘さと辛さのバランスが癖になりますね。

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 経験則的に「魚料理が美味い店の肉料理は美味い」のですが、寿々木さんも例外ではありませんでした。つなんポークのタン・タン下・ハツの塩コショウ、これは思わずビールが進んでしまうメニューです。

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 ほかにも魅力的なメニューが数多く存在していますが、すべてをご紹介するのは到底不可能なほどですので、ぜひとも足を運んでみてください。地酒も豊富ですし、魚料理も美味しくて非の打ちどころがないお店だと思います。


○みよしや
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 松之山温泉に素泊まり専門の宿があります。1人一泊5100円と格安で、自炊用の調理場もあります。インターネットでの予約はできないので、電話予約のみですが、繁忙期を除き空室さえあれば1人でも宿泊できるのは嬉しい限りです。

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 宿泊した際は、隣の部屋の人がネギやら何やら食材を大量に買い込んでいて、調理場で本格的に自炊をしていました。部屋にいると隣から実にいい匂いが漂ってきます。トイレは共同ですがウォシュレットですし、部屋も廊下もとても清潔に保たれています。

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 なんといっても無料Wifiがあります。これにはびっくりしました。今時の湯治宿は無料Wifi付なのですね。布団の上げ下げはセルフ、バスタオルや浴衣等は別料金ですが、いつも半ズボンとタオルを持参しているので、かえって好都合でした。

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 お風呂は大浴場と小浴場があり、札をひっくり返すことで男女の入れ替えが簡単にできます。男性が入浴したいときは札を男にすればいいだけです。温泉とても気に入って滞在中に何度も入浴しましたが、毎回独泉することができました。

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 こちらの湯はなんと源泉かけ流し。お湯の温度が熱いので加水のみしています。フレッシュな状態の松之山源泉は透明感があり、えぐみは少なくダシ汁のような味わい、そして肌にまとわりつくすべすべ感がたまりません。濃厚な松之山アロマの中に身を埋没して、薬効が身体の中に素肌をすり抜けてずぶずぶと入っていくのを感じると、日常の嫌なことなどどこかに吹き飛んでいってしまいます。

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 大浴場の脇にちょろちょろとお湯が沸き出ている管があります。この管は浴槽の底のほうにつながっており、浴槽の下のお湯を排水しています。源泉かけ流しの客室数の少ない温泉施設でたまに見かける「サイフォン式排湯装置」です。源泉を上から流し込み、同じく上からオーバーフローさせると、お湯の底にたまったお湯が新鮮でなくなってしまいますし、浴槽内の温度も一定に保てなくなります。こういった装置を導入し、サイフォンの原理で浴槽の底から古いお湯を排湯することにより、浴槽内の温度や鮮度を一定に保つことができるのです。これを見かけたら、源泉を大切にしている証拠だと思っていいでしょう。飯坂温泉のなかや旅館などでも似たようなものを見ることができます。

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 大浴場もいいのですが、小浴場が特に気に入りました。少し深めの浴槽は適温になっていて、入浴するとザバーっと豪快にお湯が溢れていきます。松之山アロマを身にまとい、身体の中に源泉成分を蓄えた状態はまさに人類最強。今なら何にも負ける気はしません。
 こんな素晴らしい入浴体験がたった1泊5100円でできてしまうなんて……。宿の方も親切ですし、適度に放っておいてくれるので、自由な滞在が可能です。もちろん、夜は外に飲みに行っても可能です。すぐ隣が家族経営の寿々木さんなので、自炊しなくても何も不自由ないと思います。強いていえば、朝食だけどこかで調達しておかなくちゃいけないことでしょうか……。
 こういう、自由な湯治スタイルの宿がまだ各地に残されてるのが日本の良いところだと思います。ぜひ、みよしやでプチ湯治を満喫してみてください。気軽に自由に松之山ライフを楽しめます。


○里山ビジターセンター
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 前回ご紹介した湯治BARはお昼の間、里山ビジターセンターとしてカフェの営業をしています。雪下人参ジュース、りんごジュース、そして棚美ちゃんラテなどを提供。棚美ちゃんラテはコーヒーに棚美ちゃんの顔が浮かぶ愛らしい飲み物です。けっこう作るのに試行錯誤されたらしく、完成後も髪の具合をいじったり色々されているそうです。
 こちらの里山ビジターセンターですが、二階がひなの宿ちとせの別館客室「かわ胡桃」になっていて、二泊以上からの素泊まりというスタイルになっています。本格的なキッチンやダイニングルーム、大きいテレビのあるリビングルーム、寝室、シャワールームがあり、お風呂はひなの宿ちとせの各種浴場が使えます。今流行りの温泉ワーケーションが可能です。グループで泊まれば宿泊費もけっこう休めなので、まとまった休みがある方、ぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。最高の松之山ライフが楽しめるでしょう。


○山愛
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(店内にキャッチコピーの青い看板があったのですが記録できず……わかる人がいたら教えてください!)

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 夜飲みで利用しました。かつ煮と唐揚げを注文。いやもう、ボリュームがすんごいです。こんなの食べきれるのか?っていうくらい出てくるのですが、肉の質がとてもいいので、案外ぺろりと食べられちゃいます。かつ煮にはきくらげが入っていました。
 特に唐揚げはすごかったですね。鶏肉がとても良質で、山盛りに出てきた皿がいつの間にか消えていました。

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 おみやげ屋十一屋商店のご夫妻とご一緒させていただいたのですが、お酒を飲みながら松之山温泉の話題に花が咲きました。

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 みよしやの温泉も鷹の湯1号泉、鷹の湯2号泉、鷹の湯3号泉を利用しています。1号泉は野本旅館の近く、2号泉は婿投げ会場の薬師堂手前辺り、3号泉は温泉街のさらに奥にあり、バイナリー発電をしているそうです。

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 1号泉だけでは供給不足となり、新規に堀り当てた2号泉ですが、旅館で使用する以上に温泉が沸いて出るので、もったいないかもしれませんが幾分を川にそのまま流しているようです。

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 つまり、あの川の水は温泉水が混ざっていて多少暖かいのです。薬師堂の手前、2号泉のあるところからは湯気が立ち上っていて温泉情緒を醸しています。

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 さて、野本旅館の裏を通って川は温泉街の裏手を流れていきます。冒頭で鷹の湯の露天風呂から眺めた川も同じものです。
 ちょっと不自然な人工河川。
 温泉水の入った川。

 …………もしや。

「消雪対策?」

 ビンゴでした。
 松之山温泉街はドカ雪の降る豪雪地帯。積もる雪の量は我々の想像を絶するレベルになります。往来するために取り除いた雪を、どこかに捨てなければなりません。
 そこで活躍するのが温泉水の流れる人工河川です。かつては岩のある自然の川でしたが、このままだと雪を流すとせき止められてしまうため、底を平らにして雪が流れていくように工事したそうです。景観が失われるのではという意見もあったそうですが、雪国の知恵としてとても興味深く思いました。
 また、温泉街には消雪パイプが整備されています。こちらも地下水等は使わず、川の水をバイナリー発電で使用した温泉水で熱交換で暖めて、消雪パイプに流すという画期的な方法が取られています。

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 自然とともに共存していく知恵がここ松之山には備わっています。温泉を入浴するだけでなく、さまざまな方法で利用していく。松之山が温泉とともに歩んできた歴史は伊達ではありません。
 バイナリー発電もその一つで、地熱発電に比べて地球への負担が軽くて済む発電方法なのだそうです。温泉を利用した食塩の採取もやっています。こういった松之山の特徴を押さえて宿泊すると、また旅行が楽しくなると思います。


○柳屋
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浸かるだけじゃない! 食べる温泉あります。

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 松之山の温泉を利用した食事がここにもあります。お酒をたくさん飲んだら〆には柳屋さんのラーメンを。
 澄んだスープ。ちぢれ麺には松之山の源泉が練り込んであり、チャーシューは妻有ポークを温泉で低温調理した「湯治豚」。またこのチャーシューが美味しいんですよ。メンマも美味いです。
 こうして、松之山の夜は更けていきます……。


○十一屋商店
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 雑然の中に名品あり! POPを頼りに探してね。 

 最後に、十一屋商店の最新棚美ちゃんグッズ情報です。

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・特別純米無濾過原酒「越の白鳥」棚美ちゃんラベル
 湯あがりすっぴんの酒。前回の生酒は気温が高い時に持ち運ぶのが困難なため、「瓶燗火入れ」という特別な加熱処理を施しています。持ち前のフレッシュさが生きています。

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・妻有ビール棚美ちゃんラベル
 十日町のクラフトビール「妻有ビール」がついに棚美ちゃんとコラボ。十日町産「とよむすめ」の蕎麦の実をローストした「十日町そばエール」と、麦芽の風味を生かした「豪雪ペールエール」がラインアップ。売り切れ続出の人気商品です。
 豪雪ペールエールは湯治BARで飲みました。写真は十日町そばエール。大麦の味がしっかり出ていて、すっきりしていて飲みやすい。のど越しもいいです。

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・新米コシヒカリ棚美ちゃんラベル
松之山の滝沢農園の新米魚沼コシヒカリ! これほど嬉しいグッズはありません。棚美ちゃんラベルの品は小さいパックですので気に入ったら5kgも買ってみましょう。滝沢農園のコシヒカリ、実際に家で炊いてみましたがめちゃくちゃ美味しいです。もうおかずも何もいりません、米だけで美味しく食べられます。この感動体験をぜひ、ご賞味あれ!

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・棚美T
 文字通り、背中にフルカラーの棚美ちゃんのイラストが描かれたシャツです。みよしや源泉みたいな青さがいいですね(笑)。これが今爆売れしているそうです。これを着てどこの温泉地に行けばいいでしょうか。

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 他にはSD棚美ちゃんしんこ餅缶バッチとアクリルキーホルダーがあります。ルーラコインのプリペイドカードも取り扱い中。そばやレトルトカレーなどの日用品もルーラで買っちゃえばお得ですね。
 1000円以上の買い物でショッパーまで付いてくるそう。店内のPOPを見ながら色々品定めしてみましょう。

 生命の息吹とともに、奇跡的な温泉が湧出する松之山。人々は温泉と共に暮らし、癒され、この地を守ってきました。
 ぜひ、雪の松之山を見てほしいという声を聴きました。雪は厄介な存在だけれども、松之山の景色だから。
 豪雪に閉ざされた雪国に沸く98度の源泉。その魅力は計り知れません。
 松之山アロマを身にまとうため、松之山ライフを満喫するため、またお邪魔いたします。
 
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# by kikuties12 | 2022-10-08 20:45 | 温泉  

君の瞳はスッカンブルー 塩原温泉と自然の恵み

ことごとく 毛欅の若葉の 蔭にして なお金色に 光る渓かな
与謝野晶子

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 まずはこちらの動画をご覧ください。


 家入レオ「ずっと、ふたりで」のPVです。実はこれ、塩原温泉の「雄飛の滝」で撮影が行われました。
 背後の蒼い滝壺が印象的ですよね。
 スッカン沢は高原山のカルデラ跡を水源とし、鉱物を含んだ火山成分が含まれていることから、このように青く見えます。
 昔は水を飲もうとすると辛くて飲めなかったことから「酢辛い沢」がなまってスッカン沢、と呼ばれるようになったそうです。
 今でも魚などの生物は棲めないのだとか。
 「雄飛」という名前は柏屋旅館の貸切露天風呂の名前にもなっています。
 
 ぽか旦那のきくらげ
 年寄るまで雄飛の滝を拝まざりければ、
 心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、
 ただひとり、徒歩よりまうでけり。

 というわけで、スッカン沢を歩いてきた話は後程ご紹介いたします。


〇本陣
 今年の新年会は「源泉かけ流し温泉と創作料理の宿 本陣」で行いました。
 本陣については「塩原温泉を楽しむ本」で触れておりますので、詳細については省略いたしますが、栃木の地酒や日本各地の地酒を取り揃えており、酒にぴったり合う料理を提供してくれる、まさに日本酒好きにとっては夢のような宿です。
 温泉は塩原では珍しいモール泉。分類上は単純泉ですがほぼ炭酸水素塩泉で、ゆとりろ那須塩原で使われている源泉と同じものです。
 浴室に男女の別はなく、二か所の浴室を使いたいときに貸切利用する感じです。
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 宿泊プランも色々あるので好みの料理に合わせて選んでみてください。
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 会津名物馬刺しの3点食べ比べ。ふたえご馬刺し、馬ロース刺、馬ハツの三点。本陣の名物料理になっております。
 前回、日本酒飲み比べプランで宿泊した際は馬刺ではなく焼魚の提供でした。馬刺を食べたいときは付いてくるプランを選んでみましょう。
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 宴会は大いに盛り上がり、日本酒もたくさん飲みました。

オニヤンマ仙禽unted arrows
農口尚彦研究所 YAMAHAI 2種類
長崎 よこやま 無濾過原酒
生 鷗樹 生酛無濾過原酒
岐阜 W 純米大吟醸
宮城 浦霞 しぼりたて純米辛口
福島 国権 俺の出番高千代 純米酒
王紋 しぼりたて生原酒
 もっと飲んだかもしれませんがだいたいこんな感じです。飲みすぎですね。
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 新年会ということで特別に提供していただいた馬刺し盛り。
 楽しいメンバーでとても充実した時間を過ごすことができました。



〇祝・潜竜峡トンネル開通 大網散歩
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 がま石トンネル~夕の原間の留春大橋・潜竜峡トンネルが開通しました。
 これにより関谷から塩原温泉へのアクセスが格段に良くなったほか、塩原大網付近の旧道は車の通りが少なくなり、今まで交通量の関係でゆっくり見学できなかった塩原大網周辺の大自然が観測できるようになりました。
 潜竜峡トンネル工事に伴い、山に封印されていたモノと塩原八弥ちゃんの闘いの記録はぜひ湯荘白樺さんでご確認ください。
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 留春大橋の歩道と反対側から下を覗き込むと、留春の滝が見られます。
 かつて冬の間は滝が流れなかったことより、春になると現れる滝ということで「留春の滝」と名付けられたそうです。
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 こちらは塩原渓谷遊歩道から見た猿岩トンネルの出口です。
 塩原渓谷遊歩道は温泉街に沿って作られたとても長い遊歩道です。ビジターセンターから大網までの区間が「やしおコース」と呼ばれており、布滝観瀑台や箒川ダムを見ながらゆったり歩くことができます。
 大網園地から山の斜面をしばらく歩くと上記写真の箇所に出るのですが、ここから道を挟んだ反対側の階段を通っていくと約200段の階段を降りて留春の吊橋へたどり着けます。僕が取材したときはまだ工事の関係で通行禁止になっていましたが、既に通行解除されていますので、ぜひ留春の吊橋から留春の滝を眺めてみてください。なお、留春の吊橋から回顧の滝に至る「回顧コース」は通行止め継続中だそうです。最新情報はぜひ「塩原温泉ビジターセンター」のページでご確認ください。
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 大網園地を過ぎると湯守田中屋が見えてきます。塩原大網バス停付近で眼下を見下ろすとこのような崖っぷち。下まで一体何メートルあるのでしょうか……。湯守田中屋がものすごい立地にあるのを改めて思い知らされました。
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 現在閉鎖されている湯守田中屋の野天風呂はこちらの階段を約300段降りて行きます。
 大網温泉は昔から湯治場で、「効き目非ずば返金す」を謳い文句に営業していたそうです。塩原では珍しい硫酸塩泉で、傷などに効能があります。
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 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、左側に大きな岩があります。
 このあたりは稚児が淵と呼ばれています。かつて高僧が稚児と湯治に来て、美しい童子が現れ高僧がかわいがったことから、稚児がそれを嘆いて身投げした、という逸話があります。
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 遠くに布滝を望めます。竜化の滝線歩道からも見ることができます。
 箒川の川底がひん岩・緑色凝灰岩の境目となっており、緑色凝灰岩のほうが比較的やわらかい性質のため、水が流れるに従って次第に落差が生じ、今の布滝が形成されていったそうです。
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 白いガードレールの奥に記念碑のような石があるのがわかるでしょうか。
 実はこれ、「左靭の険」の道標です。

 今の道路ができる前、このあたりは塩原へ至る難所中の難所でした。
 人が一人通れるかどうかの細い道が続いていました。

 靭(うつぼ)とは矢を入れておくための筒状の道具です。
 通常、右側にかけておきますが、そのまま通ると岩肌に靭がぶつかって邪魔なため、左側にかけなおす必要がありました。
 それで「左靭(ひだりうつぼ)」と呼ばれるようになったそうです。

「塩原温泉を楽しむ本」でも少しだけ触れていますが、塩原温泉では源氏(塩原勢)と平家(那須勢)が争ったミニ源平合戦が巻き起こっています。塩原八郎家忠の要害山城にかくまわれていた源頼政の一族を討伐するために、平家に加勢していた那須太郎資隆が関谷側から塩原温泉へ攻めに入ったのです。この際、まさにこの左靭で塩原勢は吊り橋を切ったり、石を上から落としたりして那須勢を圧倒しました。これを左靭の戦いと言います。地の利を生かした塩原側の作戦勝ちというところでしょう。
 ちなみに、那須太郎資隆はその後、源頼朝が挙兵したことを聞くと息子である那須与一を今度は源氏側に派遣。皆さんもご存じの通り、屋島の戦いで扇の的を見事にとらえて大活躍するのです。これだから歴史って面白いですよね。
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 かつてここは白雲洞というトンネルだったそうです。左手の歩道を登っていくと竜化の滝に到着します。
 与謝野晶子は竜化の滝をこう詠みました。

 龍化瀧二十五丈を若葉する毛欅(ぶな)のかこめりうえは岩山


〇蕎麦カフェHiro
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 塩原門前に新しくオープンしたお店です。
 オーナー自ら栽培した無農薬栽培の蕎麦を使ったガレットを食べられるお店です。
 ハーフ&ハーフにして一度に二種類のガレットを注文することも可能。
 ガレットも美味しかったですが、蕎麦自体もとても良質で食べ応えがありました。
 クラフトビールメニューがあったのですが当日は取り扱いしておらず……そのうち飲めるのを楽しみにしています。


〇旭亭
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 塩原古町の温泉街にある老舗うなぎ店。
 お店から七絃の滝を間近に見ることができます。七絃の滝こんなに迫力あるんですね。
 ガージェリービールの取り扱い店舗でもありました。
 平井沢の清流で泥抜きしたウナギを温泉で蒸すのが旭亭流。新鮮でふっくらした極上のうなぎが味わえます。
 温泉水で蒸すのはさすが塩原温泉ですね。
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 写真だとわかりにくいですがけっこうボリュームがあります。肝吸いも上品でとてもいい味わい。甘味まで付いてきます。
 久々に美味しい鰻を食べられてとても満足でした。


〇スッカン沢ウォーク
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 雄飛の滝線歩道駐車場にレンタカーを止めていざ出発。
 当然携帯電話も圏外になる場所ですが、アップダウンは激しくなく、ちょっとした散歩にもってこいの遊歩道です。
 雄飛の滝線歩道駐車場までは、四季の里・塩の湯分岐から八方道路をひたすら上がってたどり着くこともできますが、そちらはけっこう道路が狭く、対向車とのすれ違いが困難なので、新湯温泉から「林道新湯下塩原線」を使って八方道路の途中に出る方法があります。ヨシ沼・大沼公園と合わせて回るのもいいでしょう。
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 生命力満ち溢れる、きれいな新芽の木々に取り囲まれた川沿いをひたすら歩いていきます。
 スッカン沢周辺の滝は奥蘭田による命名なのだそうです。
 奥蘭田が塩原周辺の自然や風俗を紹介した「塩渓紀勝」は漢文で書かれており、咆哮霹靂の滝や雷霆の滝など文学的な命名の滝が多いのはこのためです。
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 奥蘭田は畑下温泉に別荘「静寄軒」をつくり、「塩渓紀勝」を書き上げました。塩原温泉に多くの文学者が来るきっかけとなり、塩原道を作った三島通庸、金色夜叉を執筆した尾崎紅葉とともに塩原三恩人と呼ばれています。
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 与謝野晶子は塩の湯温泉に宿泊し、スッカン沢周辺を歩いて和歌を詠みました。かつては塩の湯から遊歩道が桜沢、スッカン沢まで伸びていましたが、現在は塩の湯から咆哮の吊橋まで通行止めで、雄飛の滝線歩道もスッカン橋で途切れてしまっているので(薙刀岩ー前山八方ヶ原線歩道分岐間通行止め)、咆哮霹靂の滝・雷霆の滝へ行く場合は矢板市にある山の駅たかはらに駐車し、桜沢沿いの八方ヶ原線歩道を歩かなければいけません。このあたりは柱状節理の岩石で地盤がもろく、なかなか整備ができないのが現状だそうです。
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 版画家、川瀬巴水は幼いころから塩原によく滞在し、「塩原三部作」でデビューしました。
 川瀬巴水も塩原の自然を愛し、その情景を多くの作品に描いています。
 「志ほ原雄飛の滝」という作品で、川瀬巴水は力強い雄飛の滝の姿を描いています。
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 やがて見えてくるのが素簾の滝です。
 写真の左上のほうに滝がいくつも見えるのがわかるでしょうか。
 岩肌を白糸が覆いつくすように見えることから、簾(すだれ)のようだということで素簾の滝と名付けられました。
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 青く輝く宝石みたいな滝壺。太陽光が差し込むときれいな金色に光り輝くそうです。
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 素簾の滝からさほど遠くないところ、眼下に豪快な滝が見えてきます。こちらが任三郎の滝です。
 滝の発見者から仁三郎の滝という名前が付いていますが、白いスカートをまとった乙女のようだということで、舞姫の滝とも呼ばれています。仁三郎さんには申し訳ないですけど、舞姫の滝と言われたほうがしっくり来る気がします。白い滝と青い川底の対比が見事です。
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 まもなく歩いて行ったところに雄飛の滝観瀑台がありました。
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 観瀑台からの眺めはこのような感じ。うーん、迫力はすごいんですが、予想とちょっと違いますね……。
 冒頭で紹介した家入レオのPVで出てきた場所とか、川瀬巴水が描いたような雄飛の滝はもうちょい下からの眺めだった気がします。
 雄飛の滝を眺めて戻ろうと思っていたのですが、せっかくなので通行止めになっている場所までは行ってみようと思いました。
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 こんな感じの石段を降りていきます。
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 スッカン橋に到着しました。
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 スッカン橋からの眺め。いやー、これは見事です!!
 ブナの若葉と青いスッカン沢、岩肌とものすごいロケーション。
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 スッカンブルーと呼ばれる青い水脈。
 まさにここへ足を運ばないと見られない絶景です。
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 頭上を見上げると、お手本のように見事な柱状節理が見られます。
 高原山の噴火で流れた溶岩が冷えて柱状にひび割れてこのような形になります。
 竜化の滝周辺など塩原ではたまに見られる光景ですが、ここでは「薙刀岩」と呼ばれ、滝と相まって絶景を繰り広げています。
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 スッカン橋を渡り切った先から通行止め区間になってしまっていました。
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 どこかから雄飛の滝の滝壺へ降りる道があるのではないかと周辺を探してみましたが、それらしい案内はなく、この日は降雨予報が出ていてちらちらと雨粒が感じられ始めたのでこの辺で撤収しようと思い帰路に付きました。
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 携帯電話もWifiも当然圏外だったので当日は調べようがなかったのですが、後で調べるとやはり滝壺へ至る道があったそうです。
 もちろん、現地の案内図にもビジターセンターで買ったマップにも書かれていません。

 ネットの情報だとこうです。
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 さきほど紹介した石段の急な坂道のどこかを左へ分岐していくそうです。
 「雄飛の滝」と書かれた木の看板が地面に落ちているのだとか。
 やがて河原に降り立ち、スッカン橋を頭上に見ながらしばらく駐車場方面へ川沿いを戻ると、やがて滝壺にたどり着くとのこと。

 ほーん。

 …………。

 これはリベンジするしかないですね……。

 やはり、少しのことにも先達あらまほしきことなり、です。
 麓で帰っちゃった仁和寺の法師よりはいい線行ったと思いますけど。
 

 なぜ案内文も何もないのでしょうか。
 塩原ビジターセンターの案内文にはこのように書かれています。

本散策コース上、「雄飛の滝」(滝の下)に行くためには、一部歩道を外れ、沢筋をたどるルート(約 100M)箇所有り。(案内標識無し)。その箇所は、沢の増水等により状況が毎年変わる。訪れる際は無理をせず、安全に十分配慮したい。

 やはり公式の遊歩道ではないので案内もない、ということなのですね……。
 たしかにスッカン沢沿いを歩かなければいけないので危険も伴いますし、僕みたいに一人で行くべき場所ではないのかもしれません。
 そういう意味では今回の行動は正解だったのでしょう。
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 スッカン橋からの景色は見事だったので、後悔も何もしてませんし、本当に念願のスッカン沢を歩けて良かったと思います。

 あーでもこれはリベンジしたいですね! できれば複数人で。


〇湯荘白樺
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 栃木県社会人リーグ「那須野ヶ原FC」と八弥ちゃんのコラボが始まりました。塩原八弥ちゃんの趣味はサッカー観戦なのです。
 Jリーグ昇格を目指し「那須野ヶ原FC」を盛り上げましょう、というものです。
 パネル展示のほか、缶バッチ、アクリルキーホルダー、マフラータオル等のグッズが湯荘白樺で販売されています。
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 白熊パーカー八弥ちゃん部屋貸しのプランも引き続き実施中です。
 新湯の硫黄泉をじっくりと堪能し、良質なふとももを眺めながら眠りにつくことができる神プランですよ。
 限定グッズも各種あります。
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 お夕飯は部屋食です。
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 部屋食なので、八弥ちゃんがお酌してくれます。
 そんな気分で地酒を満喫できます。
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 大根など各種煮物もおいしいですし、名物の鍋モノも美味しいです。
 たまにはちょっと奮発してすき焼きプランを注文するのもいいかもしれません。腹いっぱいになるまで良質なお肉を堪能できます。
 湯荘白樺はすぐ裏が硫黄山になっており、ミルキーで良質の硫黄泉が最大の特徴です。
 周辺まで香る硫黄臭。殺菌作用の強い格別の源泉です。
 どろ湯パックも楽しめますし、周辺の共同浴場巡りもできます。
 何よりも湯荘白樺の杉山さんが塩原温泉の歴史や文化のスペシャリストで、色々観光情報を知ることができます。
 「塩原温泉を楽しむ本」を執筆するときもプライベートも大変お世話になっております。
 やはり先達の存在は大事ですよね。


 四季を通じて自然の恵みを受けられる塩原温泉。
 せっかく地球上で生きているんだから、たまには自然の恵みを感じに塩原温泉へ出かけましょう。
 これからは高原かぶのおいしい時期ですよ。
 八弥ちゃんも待っています。

# by kikuties12 | 2022-05-23 15:57 | 温泉  

雪国ガストロノミーツーリズム 越後湯沢温泉と新潟地酒

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 大宮駅から上越新幹線で約60分。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった」との書き出しで始まる川端康成の名作「雪国」。その代名詞のとおり銀嶺に囲まれた美しい町で、三国街道の宿場町として発展してきました。
 日本有数の豪雪地帯であり、その気候を生かしてウィンタースポーツのメッカとなっています。スキー場が多く整備され、バブル期には多くのリゾートマンションが建設されました。
 その後の不況やスキー人口の減少などによりリゾートマンション・スキー場の閉鎖が続いており、一時期暗い話題が取り沙汰されたこともありましたが、コロナ禍によるリモートワークの増加により移住者が増えるなど、新しい動きも生まれています。
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 2019年には新潟県・庄内エリアにてガストロノミー「日本海美食旅」デスティネーションキャンペーンが開催されます。ガストロノミーツーリズムとは、単に美食をいただくだけでなく、「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」であり、地域の伝統や多様性をサポートするだけでなく、文化の発信、地方経済の発展、持続可能な観光の実現等にも資するもの、と観光庁のHPで触れられています。雪国が育んだ豊かな食文化を旅の中で味わい、地域文化とともに理解しようとするものです。
 さらには2022年、松之山温泉に引き続き越後湯沢温泉でも「温泉むすめ」の展開が始まりました。ウィンタースポーツの町から、多角的に越後湯沢を楽しむ方法が模索され、展開されつつあります。実をいうと僕はスキーが趣味で、コロナ禍以降足が遠のいてしまっていますが、それ以前は越後湯沢によくスキーを楽しみに行っていました。後述する「ぽんしゅ館」で新潟地酒の魅力に触れてしまい、スキー目的で行くのかその後のぽんしゅ館目当てで行くのか途中からわからなくなってしまいましたが、頻繁に訪れていた町がこうして再注目されるのは嬉しいことです。


〇NASPAニューオータニ
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 東京のホテル「元祖御三家」でお馴染みホテルニューオータニの直営ホテルです。NASPAは「Nature And Sports Personal Area」の略。ちなみにNASPAニューオータニの建物は新潟県で三番目に高い高層建築なのだとか。
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 スキー場「NASPAスノーガーデン」を併設しています。八年くらい前にここで滑ったことがあります。
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 NASPAスノーガーデン最大の特徴は「スノーボード禁止」ということ。家族連れで安全にスキーを楽しむにはもってこいの場所です。僕自身、スノーボードを一切やらないスキーヤーなので、ゲレンデ内がとても快適でした。
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 越後湯沢からNASPAまではひたすら坂道を登っていきます。スノーシーズンは無料巡回バスが定期運行しています。オフシーズンは宿泊者用の無料送迎バスを利用するか、行きはタクシーに乗り、帰りの下り坂はのんびり歩く感じでしょうか。
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 あまり見慣れないシーズンオフのスキー場です。
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 こちらがNASPAニューオータニの売店内に設置された越後湯沢かすみちゃんのパネルです。売店でかすみちゃんセット(笹雪、上善如水、へぎそば)の販売も始まっていました。
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 既に祭壇も出来上がっていました。たまたまNASPAニューオータニのツイッター担当の方とお会いすることができました。会話のなかで、「越後湯沢はスキーだけじゃないことを知ってほしい」と力説されていました。たしかに湯沢町といえばスキーのイメージが強く、僕も最初のきっかけはスキーでしたが、美食や温泉にはまり、こうして温泉むすめの展開を通じて再び足を運んでいます。担当者さんはこれから色々なことをやっていきたいとおっしゃっていました。
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 日帰り入浴へ。広大な大浴場、スキーの疲れを癒せるジャグジー風呂、サウナ、そして開放的な露天風呂と充実した施設です。パウダールームや休憩場所が充実しているのはさすがニューオータニだなあと思いました。プールや源泉かけ流しの貸切風呂もついています。泉質はアルカリ性単純温泉。
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 館内にはバー、カラオケ、ビリヤード、ダーツなど様々な娯楽施設が揃っています。「NASPAあそびガーデン」にはVR体験型のアトラクション、ゾンビハウス、レーザー迷路などの屋内アトラクションやバギー、SUPなども楽しめ、テニス、ボルタリング、トレッキングなどのスポーツも楽しめます。
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 まさにオールシーズンで楽しめるホテルと言えるでしょう。館内のレストランも充実しています。ピングーコラボも積極的に行っているので、温泉むすめのこれからの展開も楽しみです。温泉むすめのファンはスノーシーズン以外も動くので、導入はとても合理的と言えるでしょう。


〇奥湯沢 貝掛温泉
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 NASPAニューオータニよりもさらに旧三国街道で群馬県寄り、神立高原を越えてみつまたスキー場とかぐらスキー場の間に貝掛温泉は位置しています。日本秘湯を守る会に属している貝掛温泉は鎌倉時代より目にいいとされる「ぬる湯」で重宝されてきました。戦国時代は上杉謙信の隠れ湯でもあったそうです。
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 木造の古き良き建物。日帰り温泉は11時から14時まで受け付けています。泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物泉。無色透明、37度くらいの源泉が加温されることなく掛け流されており、長時間に渡ってゆっくり入浴するのが貝掛温泉の楽しみ方。秋から冬にかけては少し肌寒いかもしれませんが、42度の加熱浴槽もありますし、暑い夏は極楽そのものです。かつて温泉水を目薬として販売していた歴史もあり、ドライアイや白内障などの目の病気に効く不思議な温泉です。長湯して温泉成分をじっくり体になじませて健康になれる温泉です。
 貝掛温泉は越後湯沢駅から西武クリスタル行の南越後観光バスで「貝掛温泉入口」下車徒歩10分ほど。


〇苗場温泉 雪ささの湯
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 三国街道をさらに群馬寄りへ進むと苗場スキー場が見えてきます。かぐら・みつまたスキー場も苗場スキー場も西武グループ、旧コクドの開発したスノーリゾートでした。水上温泉から三国トンネルを抜けてすぐの立地なので、高度経済成長期のスキーブームで大賑わいしました。
 雪ささの湯は苗場スキー場から徒歩圏内にある日帰り温泉施設です。越後湯沢温泉は基本的に無色透明ですが、ここはなんと濃厚なオレンジ色の濁り湯。鉄分を多く含んだナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉で、お湯の濃さから衣服の湯の華染めが行われています。
 塩化物泉なので冬でもとても温まる湯です。もちろん源泉かけ流し。内風呂と雪見露天風呂があり、温泉目当てで訪れる価値のある施設です。
 苗場温泉雪ささの湯は越後湯沢駅から西武クリスタル行の南越後観光バスで「浅貝」下車すぐ。



〇雪国の宿 高半
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 湯沢町内にはいくつかの共同浴場があり、外湯めぐりを楽しむことができます。その中でも湯元共同浴場「山の湯」は単純硫黄泉で、ほのかに卵のような香りを楽しむことができます。僕も好きだった共同浴場だったのですが、なんと越後湯沢かすみちゃんの導入宿が同じ源泉を使っているとのことで、これは行くしかないと思いました。
 そもそもこちらの湯元源泉は雪国の宿高半の先祖である高橋半六翁が発見したものだそうです。「卵の湯」として親しまれ、川端康成も入浴してその泉質を絶賛しています。
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 雪国の宿高半に設置された越後湯沢かすみちゃんのパネルです。先日、缶バッチを販売したところ、大人気であっという間に完売してしまいました。宿の方は「入荷されたらまたお越しください」と申し訳なさそうにおっしゃっていました。グッズはこれからも増えていくことでしょうし、今はこの宿に出会えて感無量です。
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 旅館のフロントが地下部分に該当し、エスカレーターで登っていくと1階にロビー、「かすみの間」、大浴場があります。ロビーには書架がずらっと並んでおり、のんびり読書しながら時を過ごすことができます。
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 かすみの間に併設された川端康成の資料館。
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 そしてこちらが「かすみの間」です。高半旅館に川端康成は三年間逗留し、名作「雪国」を執筆しました。高半旅館は小説雪国の中で主人公の島村が滞在した宿でもあります。高半旅館は「雪国の宿高半」に改装されていますが、こちらの「かすみの間」は当時のまま移設されているそうです。
 川端康成は、高半旅館に滞在して松栄(小高キク)という芸者と出会います。彼女が「雪国」ヒロイン駒子のモデルでした。
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 島村は東京に妻子を持つ文筆家で、親の財産でぶらぶらと生活しており、越後湯沢に向かう列車の中で病人に付き添う葉子という女性を目の当たりにします。湯沢到着後、高半にて駒子と再会。駒子は以前高半旅館へ宿泊した際、芸者の人手が足りなかったためお酌を任された三味線・踊り見習いでした。再開後の駒子は芸者になっていました。酔っぱらった駒子と島村は夜を共にします。
 その後、葉子と駒子は知り合いで、葉子が看病していた病人が駒子の許嫁であることを知らされます。それから物語が展開していくわけですが、ここでは省略しますので、興味ある方はぜひ本を読んでみてください。
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 松栄はかすみの間に呼ばれ、川端康成の酒相手を務め、小説執筆の手伝いもしていたそうです。もともと彼女は読書好きで、探偵小説などを好み、若かった川端康成に好意以上の感情を抱き、積極的に交流していたとのこと。松栄の情熱的な生き方が、白銀の世界でいっそう印象的に映え、名作「雪国」が生まれたわけです。
 なお、越後湯沢駅から徒歩圏内に「雪国館」という歴史民俗資料館があり、そちらは駒子の住んでいた部屋を再現したコーナーがあります。そちらもあわせて行ってみてください。
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 雪国の宿高半の客室です。
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 部屋の窓から見える景色。湯沢町や谷川連峰が一望できるあまりにも贅沢な見晴らし。小説「雪国」のなかで、島村が見ていた景色と同じものです。
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 雪国の宿高半は越後湯沢駅から歩いて20分ほどの場所にありますが、南越後観光バス森宮野原行・六日町行の「湯之沢入口」バス停からだと徒歩約10分ほどで到着します。途中にある右手の鳥居が諏訪社の入口です。諏訪社は小説「雪国」の中でも「杉林の中の神社」として登場します。
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 さて、いよいよ雪国の宿高半の温泉に入ってみましょう。浴槽が二つあり、どちらも自然湧出の源泉が贅沢にかけ流されています。男湯は露天風呂がありませんが、景色はいいですし特に不満は感じませんでした。
 ほのかな卵の香りが漂う新鮮な湯。湯加減は絶妙、入りやすいいい湯で、ぼうっと長湯することができる素晴らしい泉質でした。実はこの日、塩原温泉で知り合った温泉むすめファンの方とたまたま一緒になったのですが、その方は時間の経過を忘れて二時間以上温泉に浸かっていました。「お久しぶり~」と全裸で挨拶するのもこの趣味界隈ならではでしょう。
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 夕飯のお時間です。食前酒は自家製梅酒、前菜は魚沼産こごめ(こごみ、クサソテツの山菜名)の胡麻和え、くるみ巻き、雪国の郷土料理「みそ豆」。みそ豆は昔の貴重なタンパク源だったそうで、ご飯と一緒に食べられました。
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 飲み比べセット。どれも大吟醸級の貴重なお酒です。青木酒造鶴齢牧之、高千代酒造高千代秘酒、そして白瀧酒造宣機の一本。いずれも南魚沼の醸造所です。
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 ぜんまい煮。もちろん地元産。鰊、車麩も加わって地元の立派な郷土料理です。
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 雪室人参・たらの芽・あまどころ・うるい・かぶを高半源泉と海藻由来のゼリーで寄せ、ふきのとうと雪室人参のソースを加えたもの。ほろ苦さのあるふきのとうソース、甘さのある雪室人参ソースがそれぞれ丁度いい塩梅に存在感を放っています。
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 お刺身。エビと鯛、そして美雪ます。魚沼で養殖された美雪ますは10年もの歳月を経て研究開発され、もちっとした食感と適度な脂ののりが特徴の魚沼ブランドです。
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 越後もち豚酒粕特選味噌。
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 こちらは越後もち豚の越の鶏塩糀。それぞれ低温調理済なので、溶岩焼きで軽く熱を加えていただきます。柔らかく、豚の甘味が舌の上でとろけていきます。いやあ、美味しすぎてテンションが上がります。
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 ふきのとうポタージュ。後から口の中に広がる春の味。苦すぎず甘すぎず、絶品です。
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 魚野川の伏流水で育てた岩魚の塩焼き。ふっくらとした身がとても美味しく、思わず地酒が進んでしまいました。魚野川は釣り場としても有名だそうで、水の清らかな新潟ならではの料理です。
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 地野菜天ぷら。雪下人参と玉ねぎのかき揚げになっています。雪室で寝かせた人参は甘さたっぷり、野菜由来の甘味に感動する逸品です。
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 高半特製、南魚沼産蕎麦粉の布のりそば。布海苔をつなぎにしており、これが感動級の美味しさでした。こんなに美味しい蕎麦を食べたのは久しぶりです。
 ちなみに、布海苔をつなぎにした蕎麦を「剥板(へぎいた)」という容器に盛り付けたそばを「へぎそば」と言います。昔から魚沼地方ではカラムシの織物を製造するのが盛んで、出来上がった品は越後上布として流通するのですが、織り込む前に糸の強度を上げるために糊付けを行います。この時に使われるのが布海苔で、昔から重宝されていた布海苔が蕎麦のつなぎにも合うことが発見され、「へぎそば」が生まれたのだそうです。へぎそばは剥板の上にくるっと丸められて置かれており、「手振りそば」と言われることもありますが、これは織物を作る工程である「手繰り」から来ているという説もあるそうです。
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 そして到着しました。魚沼といえばやはり米でしょう。極上の魚沼産コシヒカリです。もう、おかずは一切必要ありません。余計な味付けも必要ありません。ご飯だけで十分おいしくいただくことができます。お代わりしてくださいと言われたので遠慮なくおかわりをいただきました。日本に生まれてよかったと心から感じる瞬間です。
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 デザートもおいしくいただきました。これが高半のレギュラーコースで、数品少ない部屋食プランや、二人以上からですが豚しゃぶ食べ放題のプランもあるそうです。魚沼の美味しい水と豊かな自然が育んだ美酒嘉肴を存分に堪能してみてください。
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 朝食はこのような感じで、もちろん魚沼産コシヒカリをたっぷり堪能できます。
 郷土料理「のっぺ」はサトイモと竹輪を中心に野菜を煮込んだもの。おでんのようなつゆの甘さが感じられました。会津の「こづゆ」とはまたちょっと違いますね。
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 朝から八海山を飲めるとか飲めないとか?



〇飲みすぎ謙信
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 さんざん飲み食いしたあとでしたが、名前が気になって行ってみました。宿から歩いて15分くらいでしょうか。帰りは上り坂なのでさすがにタクシーを呼びました。
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 もう店名の勝利ですよね。それでいて、魚沼の美味しい魚料理がたくさんそろっており、たかちよの濁り酒などレアな日本酒もそろっていて、近所にあればぜひ通いたいお店でした。
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 お通しがきゅうり。きゅうりって日本酒にとても合うんですよ。味噌もいい感じです。味噌をごはんにつけて食べたいですが、食べ過ぎてごはんはもう食べられません。それでも日本酒はひたすら喉を通っていきます。
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 すじこのみそ漬け。これ以外にも卵焼きとか芋とか注文した気がしますが、なぜか写真に残っておらず、しょうがないですね。すじこ、一緒に行った人は苦手だけどこれはおいしく食べられたと言っていたような気がします。なにせ日本酒大量に飲んでいたので、ブログに書けるほどまともな記憶がございません。楽しく温泉むすめ関係の話で盛り上がりました。飲みすぎ謙信でございました。



〇CoCoLo湯沢・がんぎどおり
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 こちらの施設なしに越後湯沢は語れません。
 日本最強の駅ナカ地酒と食のテーマパークです。
 がんぎどおり中央いちばという土産店・魚沼各地の食事処・そしてぽんしゅ館で構成されています。
 ぽんしゅ館の中には酒風呂湯の沢、唎酒番所越後湯澤駅店、魚沼商店、そして爆弾おにぎり雪ん洞があります。
 なお、ぽんしゅ館は新潟県内に三店舗展開しており(新潟・長岡・越後湯沢)、それぞれ唎酒番所を有しています。


・ぽんしゅ館 唎酒番所湯越後澤駅店
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 まず、受付でコインを購入します。500円でメダル五枚と、おちょこが渡されます。
 ずらっと並んだ利き酒の機械。なんと、新潟の全酒蔵がここに集まっています。
 最初は迷っちゃうかもしれませんが、お気に入りの地酒を見つけていきましょう。
 ルールは超簡単です。おちょこをセットし、指定されたメダルを投入口に入れ、黄色いボタンを押します。
 地酒が適量に注がれますので、あとは飲みます。これの繰り返しです。
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 基本的にメダル1枚で地酒が試飲できるようになっていますが、高級な地酒については2枚以上メダルが必要な場合もあります。
 この施設がなかったら僕は日本酒好きにならなかったかもしれません。新潟の地酒は淡麗辛口と言われますが、その言葉だけでは言い表せない豊富な種類と旨い酒があります。
 ぽんしゅ館で、まず好きな酒蔵を見つけ出してみてください。
 僕はここで高千代酒造と出会いました。高千代酒造の豊醇無盡シリーズは僕の心を掴んで離しませんでした。
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 かつて、メダル2枚以上の高級酒は機械になく、店員さんに直接お願いして注いでもらう時期がありました。今は機械が2枚以上のコインを認識するようになったので、店員さんに注いでもらうことはありませんが、その「特別な日本酒」コーナーでたかちよ豊醇無盡シリーズと出会いました。
 他にもおすすめしたい地酒は山ほどあるのですが、書いていくとキリがなくなってしまうので、皆さんに探してもらいたいと思います。
 一応、僕の好きな酒蔵だけリストアップしておきます。

・尾畑酒造(佐渡)真野鶴
・宮尾酒造(村上)〆張鶴
・峰乃白梅(新潟)峰乃白梅
・麒麟山酒造(阿賀)きりんざん
・高千代酒造(南魚沼)高千代
・白瀧酒造(湯沢)上善如水
・松乃井酒造場(十日町)松乃井
・新潟第一酒造(上越)越乃白鳥
・千代の光酒造(妙高)千代の光
・青木酒造(南魚沼)雪男
・越銘醸(長岡)越の鶴


・ぽんしゅ館 酒風呂湯の沢
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 天然温泉に浴用日本酒を加えた日帰り温泉施設です。駅ナカなので露天風呂などはなく、決して広い施設とは言えませんが、さっと入浴したい時には好都合です。お湯にお酒が入っているので、浴感がまろやかになっています。アルコールは飛んでいるみたいなので、子供が入っても酔うことはありません。


・ぽんしゅ館 糀らって
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 酒風呂の湯上りには糀らって。日本酒を作るのに欠かせない米こうじを使った「糀ラテ」各種やソフトクリームなどを販売しています。糀ラテにはソフトクリームをトッピング可能。雪室コーヒーもあります。


・ぽんしゅ館 雪ん洞
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 塩沢地区のコシヒカリを使った巨大おにぎりを販売しています。その場でも食べられますし、テイクアウトで新幹線の車内で食べてもOK。普通の爆弾おにぎりは1合(茶碗2膳分)ですが、4合分の超巨大「大爆おにぎり」も販売しているので、我こそはという方はチャレンジしてみてください。具材も各種選べます。もち豚角煮、ふきのとう味噌、にしん味噌などオススメです。



・MURAN GOZZO CAFE
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 越後湯沢駅前、料理自慢の宿「HATAGO井仙」という宿がプロデュースする魚沼イタリアンのお店。
 地元湯沢町の食材は基本的に和食として提供されています。もちろん旅行者であれば和食でいいのですが、地元の人だったり、通いなれた人だと和食はたまに飽きが来てしまうもの。魚沼の食材が輝くのは何も日本料理だけではありません。地域の食材の良さを引き出したイタリアンを作ろうというコンセプトで生まれたのがこちらのお店です。
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 ランチタイムに入るとこのような前菜付きのセットが食べられます。
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 こちらは単品注文の美雪ますのサーモンサラダ。
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 にいがた和牛カルパッチョ。
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 美雪ますのスモーク。
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 円形のピザだと量が多いという方のためにハーフサイズの「わらじピッツァ」があります。こちらは酒粕をさらに乳酸菌で発酵させた「ダブル発酵」のスーパー酒粕「さかすけ」を用いた「さかすけリコッタチーズ」ピザ。このさかすけがトマトソースととても良く合うんです。なお、デザート系のわらじピッツァもあります。
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 美雪ますのスモークピザ。玉ねぎがけっこう辛めです。
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 地元採りたてふきのとうスパゲッティジェノベーゼ風。ジェノベーゼはジェノバ発祥のバジルペーストにオリーブを加えたパスタソースですが、これをふきのとうで作ったもの。ふきのとうの苦みがかなり感じられますが、オリーブと相まって絶妙な加減に仕上がっています。
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 美雪ますのクリームパスタ。美雪ます、そのままでも美味しいですがこのようにクリームで加熱調理しても旨味が増して最高です。
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 にいがた和牛ミートタリアッテレ。タリアッテレは平麺のパスタです。写真を見ておわかりいただけると思うのですが、めちゃくちゃ美味しいです。もちもちとした牛肉、チーズ、そしてにいがた和牛の味わいが最高です。
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 自家製塩糀ベーコンとたまねぎのトマトスパゲティー。
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 デザートまでおいしくいただきました。
 宿の料理も美味しいけど、ずっと和食だけではなく、イタリアンで気分転換しつつ美味しい魚沼の幸をいただくことができる名店です。本店HATAGO井仙のむらんごっつぉもいつかは行ってみたいですね。


・越後湯澤んまや 駅中店
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 こちらもHATAGO井仙プロデュースのスイーツ店。洋菓子を持ち帰りできるほか、店内飲食もできます。
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 店内にはウォータードリッパーが並んでいます。
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 神立地区の飲泉できる温泉水とインドネシアのトラジャ豆を用いた水出し温泉コーヒー、それと温泉水で蒸した温泉プリンです。ケーキやシュークリーム、雪国マカロン、しゅねばる、雪国ジャム、コシヒカリクッキーなど地元の食材にこだわったスイーツを多数揃えています。電車の待ち時間にさっとコーヒーを飲むのもいいですし、スイーツを持ち帰るのもいいと思います。お米を使った絶品ロールケーキ「湯澤るうろ」は売り切れ必至の商品です。
 

・越後国魚沼ごはん 天地豊作
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 ラーメンやそば、丼ものなど料理のバリエーションが多く、気軽に楽しめる店です。写真は八割田舎そばと新潟たれカツ丼セット。日本酒やビールも置いてあるので、ぽんしゅ館で飲み足りない時にも重宝します。



・魚沼らーめん 雁舎
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 こしひかり米粉麺と通常の麺が選べます。酒粕を入れた味噌ラーメンが人気で、とろっとろのチャーシューとマイルドな味噌スープが日本酒を大量に煽った後の胃袋にじんわりとしみ込みます。〆に最適。



・こしひかり・丼ぶり屋 魚沼の畑
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 羽釜で炊き上げたコシヒカリのどんぶり店。写真は照り焼き豚丼。親子丼やもち豚カレーなどの肉料理のほか、いくら丼や鮭丼などの海鮮丼もあります。日本酒各種のほか、八海山泉ビールも注文可。店頭でおにぎりのテイクアウト販売もしています。


・越後つけ麺 維新
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 湯沢町内の有名つけ麺店がエキナカにも登場。コシヒカリ米粉を用いたツルツルの太麺と、野菜をポタージュにしたクリーミーなつけ汁が人気です。
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 麺のコシも良く、スープも後からスープ割ができて最後まで堪能できました。熱海にある系列店では温泉つけ麺なんというメニューもあるのだとか。ぜひ食べてみたいですね。


・小鳩屋

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 へぎそばの文化を作り上げたのが「小鳩屋」だと言われています。十日町に総本店があり、越後湯沢を含め新潟県各地にへぎそばの店を展開しています。写真はネギトロ丼とへぎそば一人前のセット。日本酒も各種揃っており、美味しいそばを食べながら地酒を飲むことができます。

 このほか、さくら亭や御宿本陣を経営する本陣の回転寿司本陣(行ったことあるはずなのですが写真が見つからず断念)も営業しています。CoCoLo湯沢内はもちろん、湯沢町内にも魅力的な飲食店が数多く存在しますし、旅館の料理も非常にレベルが高いです。
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 スキーシーズンはもちろん、一年を通じて楽しめる越後湯沢。美食の数々は何を食べようか迷ってしまうほど。松之山温泉や水上温泉など他の温泉に行く途中で立ち寄ることもできますし、じっくり湯めぐりを楽しむこともできます。旅館で小説を読みながら物思いに耽るのもいいでしょう。好みの地酒を探す旅に出るのもいいと思います。
 越後湯沢はまさに大自然のテーマパークです。国境の長いトンネルも新幹線を使えばあっという間。ぜひ、楽しんでみてください。

# by kikuties12 | 2022-05-13 18:58 | 温泉